驚いた馬淵監督からの「呼び出し」　4番で躍動…二刀流を目覚めさせた“魔法の一言”

投打二刀流の武田陸玖が先制2点適時打で5回コールド勝利を呼び込む

　高校日本代表「侍ジャパン」は8日、台湾（台北）で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」スーパーラウンド2戦目のプエルトリコ戦に臨み、10-0の5回コールド勝ち。4位以上を確定させた。13安打10得点の猛攻を呼んだのは、馬淵史郎監督の早朝“呼び出し”だった。

　早朝のチーム宿舎で「ちょっと来い」の声が飛んだ。指揮官のもとへ駆けつけたのは武田陸玖投手（山形中央）だった。その場で今大会初の4番起用を伝えられ「ちょっと考えてなかったですね」と仰天した。

　驚きの通達だったが、試合に入ると関係なかった。初回1死二、三塁の好機で打席に入ると、ライトへ先制2点適時打を放った。起用が的中し、指揮官もベンチで手をたたいて喜んだ。武田は「点を取りたい場面だったので結果は考えずに。来たボールを全力で打とうと思っていた。いつも通り、自分のパフォーマンスを出せたと思います」と渾身のガッツポーズを披露した。

　豊かな才能に頭を悩ませていた。甲子園に出場できなかった武田は「悔しいですけど、ここ（侍U-18代表）に選ばれるために」と必死に汗を流してきた。今はもう、スッキリした気分で「選んでもらったことはうれしいですけど、世界一にならないと意味がない」と強く言い切る。

　武田は7日の韓国戦では3番手でマウンドを託され1回1/3を無失点に封じ、セーブを記録した。投打二刀流の才能を持つ球児に、指揮官は「気楽にやれよ」と声をかけた。“魔法の一言”をもらった武田は「レベルの高い人たちと試合ができて凄く楽しい。自分の結果じゃなくて……。日本の高校球児を代表して（台北に）来ている。世界一になるために全力でやっています」。悩める才能が、目を覚まし始めた。

（真柴健 / Ken Mashiba）