オリの160キロ新星はダル&大谷に「似せている」 先輩・宮城が語る“逸材”の成長曲線
山下舜平大の投球に宮城大弥「キャッチボールするの、嫌ですね(笑)」
8月26日のロッテ戦(京セラドーム)で自己最速の160キロをマークするなど、プロ3年目の今季、大きく成長を遂げているオリックスの山下舜平大投手。誰もが衝撃を受ける豪速球を、1歳上の先輩はどう見ているのか。同僚の宮城大弥投手に尋ねてみた。
山下より1学年上で、大阪・舞洲の球団寮で面倒を見ることが多かったという宮城は「(新人で)右も左もわからなかった頃から性格は変わらないですね。ものすごく体は大きくなりましたけど」と、にこやかに語る。
2019年ドラフト1位の宮城と、2020年ドラフト1位の山下は、チームメートになってから行動をともにする機会が多い。仲の良い2人だが、宮城はグラウンドで山下の顔を見ると、嫌気が差す時もあるそうだ。理由を聞くと「キャッチボールするの、嫌ですね(笑)。球が速いし、強いし、痛い……」と右手をパァっと開いた。
「えぐいですよ。ボールが違います。(自分とは投球の)タイプが違うのもありますけど、本当に速い。キャッチボールをしていても、グローブを出すのが遅れてしまうんです」
最も驚くのは「腕の振りとボールが一致してないんです(笑)。僕のようなタイプは(変化球で)ちょこちょこしないといけない。舜平大は基本が直球でもいける(抑えられる)ボールを投げています」。地道に磨いてきた山下の直球は、グンと手元で伸びるそうだ。
山下は“別次元”のメンタルの持ち主「緊張しないらしいです」
今春3月に行われたワールド・ベースボール・クラシックからチームに戻ると、山下から積極的に大会期間中の出来事を質問されたという。パドレスのダルビッシュ有投手についてや、エンゼルスの大谷翔平投手のトレーニング方法などを伝授したという宮城は、「彼は、2人のことが大好きだと思う。(ピッチングも)2人の良いところを取って、似せている」と表現。実際に、山下はメジャーリーグの試合映像を見ることも多く、知識を増やしているという。
エースの山本由伸投手を筆頭に、3連覇に向けて懸命に腕を振ってきた2人。宮城に山下の凄みを尋ねると「緊張しないらしいです。別次元……。ちょっと(他の投手とは)違うタイプですね」。互いの良さを知りながら、切磋琢磨を続ける。
○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。
(真柴健 / Ken Mashiba)