騒動を謝罪「皆さんに大きな迷惑を」 気になるFA宣言…西武・山川が行き着いた答え
FAは「選手の権利」も、来季契約は「仮定の話にはお答えできない」
球団から無期限の公式試合出場停止処分を受けている西武・山川穂高内野手は5日、宮崎県内で行われる非公式試合「みやざきフェニックス・リーグ」(9日~30日)への参加が正式に決まり、会見を行った。本来若手の育成が目的のフェニックス・リーグに、山川のような主力が出場するのは極めて異例。一方で、取得が見込まれる国内FA権を行使するかどうかについては明言しなかった。今後、山川の来季の行方を決めるポイントとなるかもしれない。
今季はわずか17試合出場、打率.254(59打数15安打)、0本塁打5打点。国内FA権を取得できる1軍登録日数には17日足りないが、故障者特例措置によって、今季のNPBレギュラーシーズン全日程終了後.取得選手として公示される見込みとなっている。
後藤高志オーナーは9月下旬の時点で、FA権の行使について「選手の権利ですから、山川選手自体がどう判断するか、彼の判断に委ねたい」とした上で、来季契約を結ぶ意思があるかどうかは「シーズンが終わってからの話で、仮定の話にはお答えできない」と明言しなかった経緯がある。
山川はこの日の会見で、FAについて「もちろん、しっかり考えていかなければいけないことだと思うのですが、何よりまだ松井(稼頭央)監督と会って直接謝罪ができていない。まず僕がやったことを全て謝罪してから、いろいろな意見も全て含めて考えていかなければいけないと思っています」と語るにとどめた。
「もし西武から来季契約を望まれたら?」との質問にも、「チーム、ライオンズファン、スポンサーの皆さんに大きな迷惑をかけている。自分の気持ち以前に、やらなくてはならないことがある。まだ監督にも、1軍の選手たちにも、スタッフの皆さんにも会えていないので、直接謝罪をして初めて……。それに、フェニックスで1からプレーすること、現段階ではそれ以外のことを考えるべきではないと思っています」と直接的な返答を避けた。
FA宣言できる期間は、日本シリーズ終了翌日から土、日、祝日を除く7日間と定められている。今年の日本シリーズは今月28日開幕で、最短の4試合で終わったとしても、最終戦は11月1日。仮に山川がフェニックス・リーグにフル参戦した後、その時点の状況を踏まえ、球団と話し合いを持ってからFAについて決断を下したとしても遅くはない。
「テレビやネットを遮断していた」男が、自分への批判を「見られる範囲で全部見ている」
もともとシーズン中は野球に集中するため「朝起きてから試合が終わるまで、テレビやネットを遮断した生活を送っていました」。しかし、知人女性への強制性交の疑いが報じられて以降、書類送検され、嫌疑不十分で不起訴となった後も、自分への反応を「見られる範囲で、全部見ています」と言う。「厳しい声の方が多かったと思います。それでも僕がしてしまったことなので、目をそらすのではなく、自分の目で全部見て、真摯に受け止めて反省して、これからの取り組み方につなげていくしかないと思っています」と首を垂れる。
ファンの厳しい反応を目の当たりにする中で、現役引退の選択肢が頭をよぎったことも「正直、ありました」と打ち明ける。しかし「僕には野球しかない。いろいろな意見があると思いますが、やはり野球で取り返すしか方法が見つからない。もう1度野球をやらせてもらえるのであれば、精一杯頑張りたい」というのが、行き着いた答えだった。
野球に飢えているのが、山川の偽らざる現状だろう。フェニックス・リーグ参戦は決まったが、処分が解除されたわけでも、来季の去就にメドが立ったわけでもない。球団との話し合いの行方次第では、FA宣言に踏み切るケースもあるのか……。まだまだ予断を許さない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)