失意の投球も「大丈夫だよ」 親友同士が“3度目入札”で1位…プロへ繋がった絆と友情
楽天1位の古謝樹は日本ハム1位の細野晴希と仲良し…SNSでのやりとりも
26日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、桐蔭横浜大の最速153キロ左腕・古謝樹投手が、楽天から1位指名を受けた。同大学からは4年連続となる指名となり、「高校時代にまさか自分が大学4年生でここの舞台に立てるとは思っていなかった」と驚きの中で喜びをかみ締めた。そして、ドラフト会議の1週間前に、大学日本代表でも切磋琢磨したライバルとの意外なやり取りがあったことも明かしてくれた。
会見場の後方に集まった同級生たちから、大きな歓声が上がった。名前を呼ばれた古謝はモニターをじっと見つめて小さく微笑み、齊藤博久監督らと握手を交わした後、同級生に向かって右手で小さくガッツポーズを作る。「早く呼ばれたいと思っていたところで指名されて、驚きと喜びが混じっていました」と、その瞬間を振り返った。
少し焦りがあったのは、直前にライバルの名前が呼ばれていたからだ。大学日本代表で長い時間を共にし、実力を磨きあってきた同じ左腕で、日本ハムに1位指名された東洋大・細野晴希投手。互いに3度目の入札だったが、名前が呼ばれたのは細野が先だった。
二人は代表で一緒になる前から交流があった。SNSで連絡を取り合ったり、細野が登板するオープン戦を古謝が見に行ったりするほどの仲良し。今ドラフト前にもやりとりがあったそうだが、1週間前、細野からこんなメッセージが届いたという。
「クソみたいなピッチングしたから指名漏れ。1位でいけないかもしれない」
細野はドラフト前最後の登板で悔しい2回2失点降板
細野は19日に東都大学リーグの中大戦に先発したが、2回2失点。ドラフト前最後の登板で力を発揮できず、チームも2部優勝の駒大との入れ替え戦に臨むことに。そんな悔しさと、不安でネガティブな思いを親友に吐露したのだ。それに対し古謝は、「3戦目だからしょうがないよ。入れ替え戦までゆっくり休んで」と労りの言葉を返したという。
細野の気持ちが沈んだ時に古謝が励ますと言う関係は、代表で一緒になった時からだった。へこんでいる時は「大丈夫だよ~、って茶化しながら励ましていました」と、当時を思い出して笑顔になる。もちろん、互いへのリスペクトもある。「(細野は)『真っ直ぐいいね! いいね!』と僕を褒めてくれる。でも僕は細野の方が凄いと思っているから、謙遜し合いになりますね」。お互いに敬意を持ち、信頼しているからこその絆が表れていた。
今後はプロの世界で対戦することになる。「同じパ・リーグですし、またご飯に行きたいですね」と古謝。北海道と仙台、いつか二人の投げ合う時が来るのが楽しみだ。