早くも5人戦力外「移らなくても同じことに」 専門家が語る…現役ドラフトの”現実”
4球団でプレーした野口寿浩氏、現役ドラフトの成功強調「意義がある」
昨オフに初の試みとして実施された現役ドラフトから1年。27日の時点で早くも移籍した5選手が戦力外となっている。新制度でチャンスを掴もうとした選手が、続々岐路に立たされているが、ヤクルト、日本ハムなど4球団を渡り歩いた野球評論家・野口寿浩氏は、「何人か戦力外になってしまいましたが、現役ドラフトで移らなくても、同じことになっていたと思います」と指摘する。
「現役ドラフト」は、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化するために設けられた制度で、選手会とNPBが話し合いを重ねて導入が決定。12人の移籍が1日にして決まり、1年目で結果を出した選手もいれば、クビを切られた選手もいる。
DeNAから中日に移籍した細川成也外野手は、自己最多の24本塁打を放ち覚醒の兆しを見せた。ソフトバンクから阪神に移った大竹耕太郎投手は12勝(2敗)を挙げ、優勝に大きく貢献している。阪神OBでもある野口氏は、大竹について「彼の投球スタイルがセ・リーグにマッチしたんでしょうね。(層の厚い)ソフトバンクにいたからあまりチャンスをもらえなくて可哀相な感じでしたが、ああいう選手が出てくるというのは、やっぱり現役ドラフトというのは意義がある」と語る。
2選手が“活躍”といえる成績を残した一方、成田翔投手(ヤクルト)、笠原祥太郎投手(DeNA)、渡邉大樹外野手(オリックス)、古川侑利投手(ソフトバンク)、正隨優弥外野手(楽天)は1年で戦力外となった。移籍する・しないに関わらず、チャンスを掴まなければいけないのがプロの世界。現役ドラフトにかけられた選手は、チーム事情はあるにせよ、“放出してもいい”立場にいたことは事実だ。野口氏は「移籍して自分の立場を掴めなかったのは、現役ドラフトだろうが、なんだろうが変わらない。12球団で(成功した選手が)2人いただけでも意義はあるんじゃないでしょうか」と新制度の成功を強調した。
今年の現役ドラフトは12月8日に開催される。12人の選手たちが活躍の道を探ることになるが、チャンスを掴む選手は現れるのだろうか。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)