山本由伸にリベンジの舞台を 日本ラストマウンドの可能性…鳴り響く“アンコール”
第1戦で6回途中7失点、オリックスの山本由伸を再び熱戦の舞台へ
オリックスの山本由伸投手は28日、阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第1戦に先発するも、6回途中10安打7失点(自責7)でKOされた。チームは大事な初戦に0-8で大敗。エースが苦しむ姿に、本拠地に集ったファンは目を疑った。
超満員のスタジアムに、歓喜と悲鳴が入り混じった。山本は今季23試合に登板し、16勝6敗、防御率1.21の成績で、3年連続での投手主要タイトル4冠を獲得した。この日は自己最速タイの159キロも計測したが、大一番で“絶対エース”は結果を残すことができなかった。
屈辱のマウンドを“日本ラスト登板”とはしたくはない。今オフにポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が濃厚。次戦の登板予定は11月4日の第6戦が有力で、ナインは“リベンジ”の機会を用意したいところだ。
もう1度、本拠地に一体感を生みたい。定着してきた登場曲、VINAIの「Frontier」が流れると、スタンドは拍手喝采。手拍子のリズムに乗り、一塁側ベンチ前から山本は“舞台”に歩を進める。
直感を信じた選曲に「今では大きな拍手をして頂けて、ありがたい」
エースがマウンドに向かうと、試合開始前から球場のボルテージは上がっていく。歓声や拍手の大きさは、勝利を重ねる度に大きくなってきた。まだ優勝の味を知らなかった2021年、山本は球場に向かう車中で「Frontier」に出会った。
「初めて聞いた時に『良いな』と思ったんです。リズムと雰囲気にゾクゾク感があって。すぐに、これにしよう! となりました。みんなで盛り上がれるというか、ここから戦いが始まるぞという気持ちにさせてくれるかなと思って」
直感を信じた選曲は、ファンの心にも響いた。2021年に25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げると、そこから3連覇を達成。山本への注目度も増すばかりで「試合をする度にどんどん手拍子の音も大きくなって、本当にうれしいですよね」とファンに感謝の言葉を送る。
「(短期決戦は)すごく盛り上がるイベント。僕も(マウンドに)歩きながら、バンバン聞こえてきますし、力がもらえる。最初は(手拍子など)何もなかったんですけど、今では大きな拍手をして頂けて、ありがたいです」
まるで、コンサート会場のような盛り上がりをみせるスタンド。万感の思いを背負う、アンコールの舞台を待ちたい。
(真柴健 / Ken Mashiba)