3球団が競合した西武ドラ1左腕 大学入学時から球速20キロ増…成長促した「雲の上の存在」
今ドラフトで國學院大・武内に3球団が競合…西武が交渉権を得た
10月26日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、西武は1位入札した國學院大・武内夏暉投手との交渉権を得た。ソフトバンク、ヤクルトの計3球団が競合した最速153キロ左腕は大学入学当時の直球のスピードは132~133キロだったといい、この4年間で急成長。福岡・八幡南高時は「雲の上の存在だった」という同学年のロッテ・佐々木朗希投手らと同じ土俵に上がる。
福岡県北九州市出身で小さい頃からホークスファンだったという武内。しかし、抽選で松井稼頭央監督が当たりくじを引き当てると、すぐに笑みをこぼした。「一番最初に(指名を)公言していただいた球団ですし、縁があるのかなと思っていました。うれしいです」とうなずいた。
最速153キロを誇る左腕も、八幡南高校では無名の存在だった。國學院大・鳥山泰孝監督によると、入学時の球速は132~133キロ程度。ただ、「リリースの感覚が良かったんです」と振り返り、「(西武は)歴史的にいい投手が揃っている球団。その環境でプレーできるのはありがたい。楽しみに送り出したいです」と期待を寄せた。
大学1年時に足首、2年時に左太もも裏を肉離れするなど怪我もあったが「地道にコツコツやってきた成果が徐々に現れた」と武内。2年秋にリーグ戦デビューすると、リーグ優勝を遂げた昨年秋に4勝を挙げて最高殊勲選手に輝く。そして、この秋のリーグ戦では5勝、防御率0.97で最優秀防御率を獲得。ベストナインにも選出された。
同学年のロッテ・佐々木朗らは「雲の上の存在」…急成長した4年間
身長185センチ、体重の90キロの堂々とした体躯で、直球は最速153キロ。一見、剛腕タイプに見えるが、アピールポイントは「多彩な変化球と左右関係なく内角に投げられるコントロールです」と語る。目標とする投手はソフトバンクの和田毅投手。映像も欠かさずチェックしているといい「和田さんのように長く続けられるようにコツコツやっていきたい」と力を込める。
高校3年の時には予想もできなかった光景だ。いわゆる“朗希世代”。4年前のドラフトでは佐々木朗、オリックス・宮城大弥投手らがドラフト1位指名され、現在はチームの中心として活躍する。「(高校時代は)雲の上の存在でした。でも、この4年間で近付いてきたと自信は持っています。張り合いたいですし、上回れるくらい頑張りたい」と言い切った。
ドラフト当日、松井監督との対面が早速実現した。支配下指名を終えた後、指揮官が大学を訪問。「男前、男前」と甘いマスクにも注目し、「西武にはいい投手がたくさんいます。ライバルとして、チームのエースとして、そして日本を代表する投手になるよう球団を上げてサポートしていきます」と熱く語りかけた。
松井監督とは同じ「甘党」という共通項も。指揮官は「任せてください。初勝利の時は甘いものをプレゼントします」と満面に笑みをたたえた。今季5位に終わった西武に新たに加わる見込みの大型左腕。どんな投手に成長するか、楽しみだ。
○著者プロフィール
片倉尚文(かたくら・なおふみ)
北海道生まれ。早大卒業後、産経新聞社に入社。サンケイスポーツでプロ野球、サッカー、五輪、ゴルフ担当などを歴任。2019年8月からFull-Count編集部に所属。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)