NPBも熱視線…台湾にいる最速157キロ右腕 侍Jと開幕戦で激突、人気チアも参戦

台湾代表に選出された曾峻岳、古林睿煬、劉基鴻(左から)【写真提供:CPBL】
台湾代表に選出された曾峻岳、古林睿煬、劉基鴻(左から)【写真提供:CPBL】

曾峻岳は台湾プロ野球で今季18セーブ、防御率1.22

「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」が11月16日から19日まで東京ドームで開催される。侍ジャパンが16日に対戦するのがチャイニーズ・タイペイ代表だ。今回チームを率いるのは台湾人野手初のメジャーリーガー、富邦ガーディアンズの陳金鋒2軍監督だ。現役時代は「台湾の大砲」として知られ、アテネ五輪で上原浩治投手、北京五輪アジア予選ではダルビッシュ有投手から本塁打を放った。

 26選手の中では今年のWBC代表から3人。曾峻岳投手(富邦)、陳傑憲外野手(統一)、郭天信外野手(味全)が選ばれた。曾は最速157キロを誇る22歳の救援投手。今年2月、米サイト「ファングラフス」の国際プロスペクトランキングで台湾選手として唯一ランキング入り。WBCのキューバ戦では今季ア・リーグ3位の38本塁打を放ったルイス・ロベルトら世界の強打者を3者連続三振に仕留めた。シーズンではNPB球団のスカウトの姿が見られるようになり、特に日本ハムの稲葉篤紀GMは熱心で幾度も球場で姿を見かけた。

 CPBL3シーズン目の今季は54登板で2勝2敗、9ホールド、18セーブ、防御率1.22、被打率.161、奪三振率10.45。「今年は、海外でのプレーという夢が、目標に最も近づいた1年かもしれない」と述べ、「結果を気にしすぎるあまり、実力が発揮出なかったらどうしようという不安はあるが、とにかく全力を尽くしたい」と意気込みを語っている。

 楽天の王彦程投手も選出された。2019年から育成でプレーしてきた王は10月30日に自由契約となったが、以降も楽天の秋季キャンプに参加していた。台湾メディアによると、本人は今後も日本でのプレーを希望しており、マネジメント会社は楽天を含めNPB球団と交渉を行っているという。

 陳監督は先発候補として、古林睿煬(統一)、陳克?(楽天モンキーズ)、江國豪(富邦)、王彦程の4人の名前を挙げた。23歳の古林睿煬は最速157キロを誇り、今季は13試合80回を投げ、5勝2敗、防御率1.80だった。また、曾峻岳と共に抑えに指名されたのは、2019年プレミア12代表の林凱威投手(味全)。オーバーエイジ枠で選出された。2015年にダイヤモンドバックスと契約し、2Aまで昇格。帰国後、昨年のドラフトで味全から1位指名された。今季は51登板で3勝1敗12ホールド、18セーブだった。

1軍5球団から計10人のチアリーダーが参加する

 野手陣でまず注目は23歳の劉基鴻内野手(味全)だ。味全がリーグに復帰した2019年ドラフト会議で、一巡目1位指名。今季は公式戦でリーグ最多の136安打、16本塁打(リーグ3位)、80打点(同2位)をマークした。初の台湾シリーズでも初戦に2本塁打を放つなど7試合連続安打。.367の高打率で優勝に貢献した。

 味全から選ばれた選手は、いずれも12日まで台湾シリーズに出場していたチームの主力で、優勝した勢いそのままにプレーをしてくれそうだ。WBC代表の郭天信はハッスルプレーが信条。ショートの張政禹内野手は華麗な守備が魅力。さらに、林孝程外野手は相手にとって脅威となる脚力を備える。

 今大会で主将を務める29歳の陳傑憲外野手(統一)も見逃せない。岡山・共生高校では呉念庭(西武)の1学年下。楽天の古久保健二ヘッドコーチも「NPBレベル」と絶賛するバットコントロールの持ち主だ。今季の打率.315はリーグ3位。4年連続でベストナインに選出された。

 今大会の台湾代表は選手層という根本的な課題に加え、代表選出で兵役期間が短縮となる9月のアジア大会や12月のアジア選手権に挟まれたこと、コンディション不良で辞退した主力選手も出たことで「ベストメンバー」とは言い難い。そのため、特に日本、韓国との試合は厳しい戦いになりそうだ。陳金鋒監督は合宿初日に「皆はベストを尽くしてくれ。どんな結果になろうが、勝敗については俺が全ての責任を背負うから」と激励したという。

 大会には、台湾プロ野球を語る上で欠かせない応援団やチアリーダーも「参加」する。台湾から駆けつけるのは、1軍5球団、計10人のチアリーダー、そして中信兄弟と味全の男性応援団長2人だ。国際大会への関心が高い台湾では、CPBLと大手旅行代理店が応援ツアーを企画。日本円で約20万円のツアーに、約200人が参加予定だ。行程には、参加者限定のチアリーダーとのファンミーティングも含まれている。CPBLはまた、ツアーのスペシャルゲストが、レッドソックスからFAになった張育成内野手であると明らかにした。東京ドームでファンと共に台湾ナインを応援することになる。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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