イチロー氏に“異変”「かなりきつそう」 女子高生へガチ投球、滲み出る50歳の「覚悟」

高校野球女子選抜戦に先発したイチロー氏【写真:中戸川知世】
高校野球女子選抜戦に先発したイチロー氏【写真:中戸川知世】

二塁に到達したイチロー氏の右足に異変…松坂氏は「かなりきつそうに思えた」

 マリナーズの球団会長付特別補佐兼インストラクターとして活動するイチロー氏が率いる「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」が21日、東京ドームで「高校野球女子選抜」とのエキシビションマッチに4-0で勝利した。「4番・遊撃」でフル出場した松坂大輔氏は、試合途中で右足を痛めながらも9回を1人で投げ抜いたイチロー氏の姿に「覚悟を見せてもらいました」と感銘を受けた。

 イチロー氏は過去3年間で最速となる138キロを4度計測するなど、序盤から飛ばしていたが、5回の打席で右中間への安打を放ち、二塁ベースに到達したところで右足を気にする素振りを見せて厳しい表情に。ベンチ内のチームメートも異変に気づいた。松坂氏は「肉離れなのか、足がつっただけなのか分かりませんでしたが、かなりきつそうに思えた」と振り返った。

 5回終了後のグラウンド整備の時間を利用し、イチロー氏はベンチ裏で入念なストレッチを繰り返していたという。「本人は投げる気満々でした。打たせて取るピッチングをすると思ったので、しっかり守らなきゃと思いました」。重傷ではなかったようだが、万全でないのは明らか。松坂氏も集中力をさらに高めて遊撃の守備位置についた。

高校野球女子選抜戦に出場した松坂大輔氏(左)とイチロー氏【写真:中戸川知世】
高校野球女子選抜戦に出場した松坂大輔氏(左)とイチロー氏【写真:中戸川知世】

イチロー氏からの登板要請に「投げている姿をもう1度見せられたら」と宣言

 右足だったのが不幸中の幸い。投球時に踏み出す左足だったら「多分投げられなかった」と松坂氏は説明した。それでも6回以降は無四球で、最後まで崩れることのなかった投球内容に「簡単にできることではない。改めてイチローさんの野球センス、身体能力の高さを感じた」と脱帽。自身も6回の先頭打者の後方への飛球を好捕するなど守備でバックアップした。

「マウンドを降りるつもりはなかった」と“負傷”しながらも116球を投げ、完封した背番号1の姿に「グッときました」と松坂氏。「イチローさんのこの試合への覚悟を見せてもらいました」と心境を語った。

 女子野球界の発展を願うイチロー氏の思いを目の当たりにした「平成の怪物」は、試合後のインタビューで来年の登板を打診され「僕もいいピッチャーだったんだよ、と思い出してもらえるように、投げている姿をもう1度見せられたらと思います」と宣言した。「トレーニングしたからといって投げられるか分からないですけど、ピッチングすることもイメージしながらトレーニングをやりたいと思いました」と刺激を受け、来年の登板実現へ向け練習を積んでいくことを約束した。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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