「妻の応援よろしく」引退セレモニーで“異例”懇願 晴れやかな引き際…涙の記念撮影
西武の中熊、齊藤誠、出井が「サンクスフェスタ」で挨拶
西武を戦力外となり、今季限りで現役を引退する中熊大智捕手、齊藤誠人捕手、出井敏博投手が26日、ベルーナドームで開催された「ライオンズ サンクスフェスタ2023」で引退セレモニーを行い、ファンや仲間、スタッフ、家族らに感謝の思いを届けた。
2018年に育成ドラフト3位で徳山大から入団した中熊は「ライオンズ球団、ファンの皆さん、家族、友人の期待に応えることはできませんでしたが、どんなときでも温かい声援を送ってくださったファンの皆さん、ありがとうございました」と頭を下げた。5年間での1軍出場は1試合。家族や友人に感謝の言葉を述べ、最後には「ライオンズのユニホームを着て、セレモニーまで与えてもらって本当に幸せでした」と声を詰まらせた。
続いて挨拶したのは2017年に育成ドラフト2位で北海道教育大学岩見沢から入団した齊藤誠。体育教師になるか、プロ野球選手になるか悩んだ末に西武の一員に。1軍での出場は3試合に終わったが「この6年間を振り返ってみると、皆さんの声援の中で野球をできたことはとても幸せでした。あの時、プロの世界に飛び込んでよかったと心から思います」と胸を張った。
家族や恩師、友人らに感謝の思いを伝えると、2021年11月に結婚を発表した妻で女優の楠木杏さんに対し「約2年、あまりいい姿を見せられなかったかもしれませんが、そばで応援して支えてくれた妻にも感謝しています」とメッセージ。来季からはファームブルペン捕手兼ファーム用具補佐としてチームをサポートする。「ライオンズの応援はもちろんですが、ブルペンキャッチャーとしての僕と、そしてできれば妻の応援もよろしくお願いします」と頭を下げ、涙で目を真っ赤にした愛妻と写真に収まった。
今後は3人とも裏方としてチームに尽力することを約束…2万3931人から温かい拍手
最後は2019年に育成ドラフト1位で神奈川大から入団した出井がマイクの前に立った。プロ生活の思い出について、入団2年目に当時は2軍で指揮をとってい松井監督からイースタン・リーグの開幕戦先発を任されたことだといい、「そのことが自信になって、本当に僕の中で大きなものになっています」と述べると、ベンチ前でスピーチを聞いていた指揮官も優しく微笑んだ。
2022年は2軍で28試合に登板。西口2軍監督に「たくさん投げさせてもらいました」と感謝の思いを述べると同時に「その中で多くのことを得ましたが、それを生かすことができずに、結果が出ずに引退となってしまいました。西口監督、本当にすみませんでした」と“謝罪”も。育成選手として切磋琢磨した粟津、伊藤、菅井から花束を渡されると涙をこぼした。
中熊はファームブルペン捕手兼ファーム用具補佐、出井もファーム打撃投手兼ファームスコアラーとしてチームに関わっていく。齊藤誠を含めた3人は裏方としてチームの優勝のために尽力していく。合わせて1軍出場4試合という3人に用意された最高の花道。2万3931人のファンから惜しみない拍手が降り注がれた。