外野→捕手への挑戦は「損はない」 森友哉、“ライバル”浮上の後輩に熱烈エール

オリックス・森友哉【写真:荒川祐史】
オリックス・森友哉【写真:荒川祐史】

オリックス・池田陵真の捕手挑戦を森友哉が後押し

 将来的にライバルとなるかもしれない“後輩”を温かく見守る。オリックスの森友哉捕手が、今秋から捕手にも挑戦している池田陵真外野手に熱いエールを送った。森にとって、大阪桐蔭の後輩にあたる池田は、11月に高知で行われた秋季キャンプからマスクを被っている。

 異例の挑戦にも“先輩”はプラスになると確信している。森は「絶対に、やってみて損はありません」と断言する。打者として「配球も勉強になりますし、全てにおいて外野手とキャッチャーってなると、全然違う目線からの野球になりますから」と挑戦を後押しする。

 微笑みながら「本格的にやっているんですか? 何のためにやっているのかも全然知らないんで(笑)」と断りながらも、後輩が野球人として成長できる機会を得たことを喜んだ。

 4連覇を狙うオリックスの外野陣は激しい競争が待っている。“ラオウ”こと杉本裕太郎外野手を筆頭に、国内FA権を行使して移籍した西川龍馬外野手や、外野も守ることができる中川圭太内野手らとの定位置争いを勝ち抜くしかない。

 高卒2年目の池田は今季、ウエスタン・リーグで首位打者、最高出塁率の2冠に輝いた。中学時代に捕手経験がある池田の打撃力を生かす狙いで、福良淳一GMと中嶋聡監督らが協議し、本人の意向を確認した上でコンバートが決まった。

オリックス・池田陵真(左)【写真:真柴健】
オリックス・池田陵真(左)【写真:真柴健】

プロ入り後の捕手コンバートは極めて異例

 プロ入りしてからの捕手コンバートはあまりない。捕手から内外野に転向したケースでは42歳11か月で2000本安打を達成した和田一浩(西武、中日)や通算378本塁打の小笠原道大(日本ハム、巨人、中日)、鉄人・衣笠祥雄(広島)、強打者の山崎武司(中日、オリックス、楽天など)、江藤智(広島、巨人、西武)らのケースはあるが、内外野手からの捕手転向は極めて珍しい。

 そのなかでも池田は中学時代以来の捕手挑戦について「どこでも広く守れた方が(首脳陣が)使い勝手がいいというか、出場機会が増えると思います。そういう意味でもどこのポジションでも守れる方がいいと思います。捕手は凄く下半身を使うので、下半身をもっと使っていけたら打撃もよくなるかなと思います」と気持ちを込める。

 ただ、捕手へのコンバートで“大先輩”の森に挑む形になってしまい「先輩の森さんに挑戦するのではありません」と、苦笑いで戸惑いも隠さなかった。恐縮する池田に対して森は「自分で股関節が硬いと言っていましたから、まだまだですね(笑)。僕に遠慮せず、どんどん勉強すればいいと思います」と影ながら見守る姿勢を崩さない。

 捕手の難しさの一端を示しながらも、挑戦を歓迎する。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2000年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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