戦力外後にプロポーズ「どうなるんだろう」 独学で野球勉強の妻…あざだらけのノック
元燕・中山翔太は、今季からNPB2軍に参入する「オイシックス新潟」でプレー
元ヤクルトの中山翔太外野手は今年から、NPB2軍に参入する「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」でプレーする。戦力外通告を受けた後に結婚し、昨年は“コーチ”も務めてくれた最愛の妻と共に新潟へ移住。豪快なアーチを描く長打力を武器にNPB復帰を目指す。
昨年末に放送された人気番組「プロ野球戦力外通告」で、ひときわ注目を集めたのが中山だった。12球団トライアウトでは豪快な一発を放ち、スタンドから祈るような姿で見守っていたのが妻・愛由美さん。ヤクルトから戦力外を受けた後に結婚し、独立リーグ・九州アジアリーグ「火の国サラマンダーズ」でプレーした昨年も熊本で生活を送っていた。
「僕からプロポーズしました。職が安定しない中で『どうなるんだろう』と不安でしたが『これからも支えていく』とOKをもらった。プロ野球選手ではなくて、1人の男として自分を見てくれていた。この人のために頑張って、幸せにしなければいけないと思いました」
熊本での生活は決して楽ではなかった。独立リーグの収入だけでは厳しく、愛由美さんも平日は朝から夕方まで仕事をし、生活費を工面してくれた。「つらい思いもさせてしまったけど、常に明るく振る舞ってくれ、一緒になって乗り越えられた」。思い描いていた新婚生活を送ることはできなかったが、2人の絆はより深まっていった。
野球素人ながら独学で研究、支えてくれた妻の存在「精神的にも成長させてくれた」
愛由美さんは野球未経験ながら夫のために、野球指導者のX(旧Twitter)やYouTubeを見て独学で“勉強”。打撃不振に陥った際には、自ら撮影した動画を一緒に見ながらアドバイスを送る。トライアウト直前も練習相手を買って出て、腕があざだらけになりながらノックを打ち続けた。
「慣れないなかでも毎日、必死に行動してくれた。独立リーグの開幕当初は全く打てなくて。不振の時に『ここどうなってる?』と尋ねると答えてくれた。気持ちの面でも楽になって、そこから結果が出るようになった。これまで(ヤクルト時代)は自分のためだけに野球をやっていましたが、今は違う。妻のために頑張るだけ。精神的にも成長させてくれた」
支え続けてくれる妻には感謝してもしきれない。だからこそ、新天地の新潟では人生をかけて勝負するつもりだ。2月1日のキャンプインに向け、現在も2人で自主トレを行っている。
妻にNPBのユニホーム姿を見せたのはトライアウトの一度だけ。「公式戦で(NPBの)ユニホーム姿を見せることが恩返し。結果を残してNPBにアピールしていきたい」。
中山には守るべきものがある。一番、身近で支えてくれた“コーチ兼任”の妻のために。NPB復帰は厳しい道のりだが、2人で力を合わせ夢を掴みに行く。