イチローは「野球の教授で応援団」!? 米紙が常識を超越した”革命者”を特集
NYタイムズが大特集、イチローは「選手でもコーチでもなく、いつもユニーク」
マリナーズの“レジェンド”イチロー外野手が、米有力紙に特集された。44歳で現役のまま会長付特別補佐をつとめるイチローについて、5日(日本時間6日)付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」が長文の特集記事を掲載。現役選手と指導者の狭間で、独特の役割を務める背番号51が、球界の常識にとらわれない存在であると伝えている。
記事では、イチローの現在の立場について、「現代の球界において前例のないものに見える。ユニホームを着たコンサルタントであり、メンターであり、野球の教授であり、応援団である」とし、「コーチと選手の間にある、球界の誰もいない場所に存在している」と、その特異な役割を表現している。
さらに、今季はもう試合に出場しないにもかかわらず、ユニホーム姿で練習をこなし、いまだに打球をスタンドに放り込む力を持っていることや、マリナーズの選手がイチローを「チームメート」と見なし、主力選手のハニガーが外野守備について教えを乞うたり、練習後に選手の質問を受ける時間を設けたりしていることについても言及。同僚のゴードンは「彼は真っ先にチームメートだよ。彼は僕の友人だけれど、もちろんチームメートなんだ」と話し、ロマインは「僕らはそれを“授業”と呼んでいる。そして彼が教授だ。真剣だよ。あのような、殿堂入り確定の選手に何でも質問できる機会なんてどのくらいあるだろうか? 素晴らしいよ」と表現していることを紹介している。
また、サービス監督とディポトGMが、仲間から伝えられた方が選手も熱心に耳を傾けるため、イチローが直接選手に気づいたことを伝えるように推奨していることも指摘。GMが「彼は信じられないくらいエネルギッシュで、選手の指南役となり、準備の仕方の例を見せている。そして、勝利の後に魔法のように現れ、列の先頭にいるんだ」と、イチローの果たす役割に満足していることも伝えている。
日本からやってきて、ホームランの数を競うパワー野球全盛の米球界に、俊足巧打という概念を持ち込んだイチロー。同紙は「スズキ(イチロー)は、野球の不文律である、『実働できない選手』扱いを拒否している」とのサブ見出しをつけており、米国にやってきた時と同様、イチローが44歳になった今も、球界の革命者であるとのニュアンスを込めて「彼はコーチでも現役でもない。そしていつもユニークである」と、その特異な立場、言動について、驚きをもって記事を締めくくっている。
マリナーズは好調を維持し、2001年以来のプレーオフ進出に向けて歩みを進めている。その中で、試合には出ていないイチローの存在感が際立っている。
(Full-Count編集部)