山本由伸は「本当に優しい」 齋藤響介が明かす“神対応”…「僕は何もわかっていなかった」
オリックスの19歳・齋藤響介を救った、山本由伸の“付き添い”
オドオドと周囲の様子を伺っていた姿が、少しずつ消えている。オリックスの高卒2年目、齋藤響介投手がプロ初のシーズンオフを終え、2度目の宮崎春季キャンプに臨んでいる。
新人だった昨季は2軍で11試合に登板して、防御率2.25を記録。昨年9月26日の西武戦(京セラドーム)ではプロ初登板初先発のマウンドも経験し、4回2安打無失点の投球で自信を深めた。
「昨年はいろいろな経験ができたりして、自分の中では充実した1年でした。1軍の選手と間近で練習できたのが良い刺激でした。最初はすごいドキドキしました……」
バクバクの胸中を推し量ってくれたのは、ドジャースに移籍した山本由伸投手だった。齋藤が初めて1軍練習に合流した日、周囲への挨拶へエースが“付き添い”をしてくれた。
「もう本当に優しくて……。最初、1軍に上がった時、僕は何もわかっていなかったんです。先輩選手への挨拶を、一緒に案内をしてくれました。感謝しかないです。京セラドームの施設(の利用方法)も教えてくれました」
初登板を終えると「ナイスピッチング!」と声を掛けられ「すごかったねと褒めてもらえて嬉しかったです……」と顔を真っ赤にした。テレビ番組では、山本から“ネクストブレイク選手”にも選ばれ「投球を見てくれていて、自分でも嬉しいです。(遠征帯同しない時など)舞洲では、野球の話までは行かないですけど、日常会話を。1番最初も、2回目も緊張してしまいました」と照れた。
19歳の“進化”…「僕は今までドーム球場で野球をしたことがなくて」
1度踏んだ1軍のマウンドで、好感触を得た。「僕は今までドーム球場で野球をしたことがなくて……。声援もすごく感じたんですけど、良い緊張感でした。(昨年に)1回、投げられたので安心感はあります」と2年目に向かう。
初めて過ごしたオフシーズンは「ウエートだったり、筋力トレーニングに励みました。高校の時はあんまり(ウエートを)してこなかった。プロに入ってから、少し球の威力にも手応えがあります。良い感じです」と充実の表情だ。
愛称は「きょうちゃん」。宮城大弥投手にも可愛がられる19歳は「(昨年)ストレッチ中に『スマホケース一緒だね~』となって、嬉しかったです。たまたまだと思いますけど、ほっこりしました」と笑う。今季の目標は「プロ初勝利です。1軍の舞台で活躍できるように頑張りたいです」と力強い。
18歳の高卒ルーキーたちが入団し、ちょっぴり“先輩”になった右腕は「まだ、緊張します……」と自然体を貫く。無理して大人になる必要は、ない。
〇真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者の卒業を決意。2023年2月からFull-Count編集部へ。
(真柴健 / Ken Mashiba)