元ドラ1左腕が目指すNPB復帰「這い上がる」 戦力外→新規球団入りも…衰えぬ“向上心”

くふうハヤテの田中健二朗【写真:編集部】
くふうハヤテの田中健二朗【写真:編集部】

前DeNAで、くふうハヤテの田中健二朗は欧州代表戦で2K3者凡退

 今季からNPB2軍のウエスタン・リーグに新規参入する「くふうハヤテベンチャーズ静岡(略称=くふうハヤテ)」が4日、来日中の欧州代表と練習試合(京セラドーム)を行い4-4で引き分けた。前DeNAの田中健二朗投手が7回から4番手で登板。今季2度目の実戦マウンドで、先頭打者から見逃し三振、三ゴロ、空振り三振。1イニングを3者凡退で封じた。

「まだ探り探り。もうちょっと平均的なスピードも上げていかないといけない。僕でいったら生命線のカーブもしっかり2ストライクから投げ切らないといけない。そういったところではまだ100%ではないかな」と本人は辛口評価。しかし、DeNA(横浜時代含む)で通算274試合に登板、14勝13敗1セーブ、64ホールドをマークした左腕の安定感はさすがだった。

 昨年オフにDeNAから戦力外通告を受けたが、現役続行を希望。34歳左腕は、くふうハヤテからのNPB復帰を目指す。2007年にドラフト1位指名で常葉菊川高から入団。2016年には61試合に登板し、球団初のクライマックスシリーズ(CS)出場に大きく貢献した。

 プロの世界で16年間戦ってきた経験から、くふうハヤテは戦う集団として「まだ全体的に足りないものばかり」と言う。技術的な部分は仕方ないとしながらも「チームはスタートしたばかり。ゼロから始まったところ。選手1人1人がこうなりたい、こうしたいというのを見せていかないと強くなっていかない。個人的なレベルアップもしない。それは必要かなと思います」と“物足りなさ”があるのも事実だという。

仲間に向上心を求めつつ「僕もその一員。這い上がるために頑張ります」

 選手の貪欲さは「あると思います」と言うが「まだまだ(成長するための)やり方を知らない。ファームなら140試合やっていかないといけないですから。それも勉強で毎日が学びと思う。向上心という言葉が大事になってくる」と説明した。

 プロの2軍を相手に1シーズンを戦うのは、想像以上にタフなことだ。ここまでの実戦5試合で1勝2敗2分け、総失点は35点というチームがさらに成長するために必要なこと、必要な技術、これまで接してきた一流選手の考えや姿勢など、田中にある“引き出し”は惜しみなく伝えていくつもりだ。

「偉そうなことを言える立場ではないですけど、向上心はもっともっと必要かなと思います。僕もその一員です。這い上がるために頑張ります」。34歳左腕は自らに言い聞かせるように語り、バスに乗り込んだ。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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