低反発バット導入で選抜はどうなる? プロ注目打者の“見解”「捉えた飛距離は変わらない」

豊川のモイセエフ・ニキータ【写真:橋本健吾】
豊川のモイセエフ・ニキータ【写真:橋本健吾】

昨秋の東海大会を制し10年ぶり2度目の選抜出場を決めた愛知・豊川高校

 第96回選抜高校野球大会は3月18日に甲子園で開幕する。今大会で最も注目されるのは、反発力を抑えた新基準金属バットの導入だ。昨秋の東海大会を制し、10年ぶり2度目の選抜出場を決めた豊川(愛知)の長谷川裕記監督、プロ注目のモイセエフ・ニキータ外野手に“低反発バット”の対策を聞いた。

 今春から導入される“低反発バット”は、打球による事故防止が目的の1つ。近年は高校生世代でも筋力トレーニングが進み、パワーアップ。バットの芯を外しても本塁打、長打が生まれることも少なくなかった。新たに導入されるバットは最大直径が従来より3ミリ短い64ミリとなり、打球部の厚さを3ミリから4ミリとすることで、打球速度や飛距離が落ちるとされている。

 バットが変わることで戦い方も変化していくのか。現場を預かる長谷川監督は「確かに当たった瞬間の打球速度、飛距離は従来に比べ落ちる印象です。あとは音で騙されることもあるかと思います。そこまでしっかり捉えていなくても高い金属音が響くことがあるので」と、実感している。

 ただ、これまでの戦術が通用しなくなるわけではない。「芯で捉えると打球はしっかり飛ぶ。その確率を上げることが求められる。ただ、ゲーム的に考えると、打つだけではなく守備、走塁面。そこが大事になってくる。失点を防ぐ、得点をあげるのはバットだけではない。低反発バットになっても、それに負けず本塁打を目指すチームが出てきても面白いと思っています」。

プロ注目のニキータ「芯は小さくなるが、捉えた飛距離はそこまで変わらない」

 打者の立場からすると、しなりを生かした木製バットの方が飛ぶのではないか、との声も上がっている。「技術のある打者はそうかもしれないが、全員が対応できるのかと言われれば難しい。少し間違えば折れることもある。その辺りは今後、どういう選択をするのか見ていきたい」と、長谷川監督は口にする。

 両親がロシア出身で、昨年の東海大会で打率.625、高校通算13本塁打をマークするニキータも「芯は小さくなったが、捉えた飛距離はそこまで変わらない」と実感を込める。さらなるパワーアップを目指し、冬場は肉体改造に着手した。食事も見直し、ウエートに励んだ結果、体重は3キロ増の85キロ。ベンチプレスは110キロから122キロ、スクワットも180キロから190キロとパワーアップにも成功した。

「きついトレーニングを乗り越えて心身共に技術も体も大きくなった。やってきたことは変わらず、初心に返って広角に捉える打撃、そのなかで甘いコースにきたらフルスイング。持ち味の長打も目指していきたい」

 昨年の選抜大会では35試合で12本のホームランが飛び出した。新基準バットに完全移行される今大会は、どのような結果になるのか。“飛ばないバット”の導入で高校野球は変わるのか、注目していきたい。

【実際の動画】選抜大注目のニキータ擁する豊川高校に密着 長谷川監督が考える“低反発バット”対策は?

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