“飛ばないバット”大会1号はプロ注目の豊川モイセエフ　ポール際の打球も本塁打判定

阿南光の最速146キロ右腕・吉岡暖投手から大会第1号本塁打を放った

　第96回選抜高校野球大会の第2日が19日、甲子園球場で行われ、第1試合で豊川（愛知）のモイセエフ・ニキータ外野手（3年）が大会第1号本塁打を放った。阿南光（徳島）との1回戦に「3番・中堅」で出場。両親がロシア出身で、プロも注目する左の大砲が甲子園初登場を華々しく飾った。試合は4-11で敗れた。

　衝撃の一発は1-5で迎えた8回1死一塁で迎えた第4打席だった。2ストライクと追い込まれたが、3球目のアウトコース高めへのフォークを捉えた。右翼ポール際への弾丸ライナーがスタンドインすると球場はどよめき。一塁を回ると右手の人差し指を掲げた。ホームインした後、阿南光は球審に本塁打か確認を行ったが、判定は覆らなかった。

　高校野球では今大会から金属バットに新基準が導入され、“打球が飛ばない”と話題になっている。従来に比べると、バットの最大直径が67ミリ未満から64ミリ未満へと細くなり、打球部は約3ミリから4ミリ以上へと“肉厚”となって、反発が抑えられた。実際に前日の大会初日の3試合はノーアーチに終わっていた。モイセエフの本塁打は大会通じて4試合目で生まれた。破格の長打力を実証した格好だ。

　試合は阿南光が9回に6得点で突き放した。その裏、モイセエフは4-11の2死満塁の場面で5打席目を迎えたが、空振り三振に倒れて最後のバッターとなった。プロ注目の大砲は初戦で敗退となったが、甲子園で十分なインパクトを残した。

（Full-Count編集部）