チームが「弱かったから」…大谷翔平を阻む“壁” 専門家が予測、前人未到の「50-50」

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

飯田哲也氏が語る大谷の脚力「シンプルに速いし、意欲が凄い」

 今季ドジャースに移籍した大谷翔平投手は、パドレスとの韓国シリーズ2連戦(ソウル)で、10打数3安打2打点1盗塁をマークした。打者に専念する今季は、どんな成績を残すのか。ヤクルト、楽天で計20年の現役生活を送り、盗塁王のタイトルを獲得した評論家の飯田哲也氏は、“脚力”にも大きな可能性を感じている。

「50-50(50本塁打、50盗塁以上)、いってもらいましょう。見たいです、できると思います」。飯田氏は、大谷がまた歴史を塗り替えることを期待する。

 昨季、ア・リーグは10勝&44本塁打を記録した大谷(当時エンゼルス)がMVP。一方、ナ・リーグMVPのロナルド・アクーニャJr.外野手(ブレーブス)は41本塁打&73盗塁で史上5人目の「40-70」を達成し、話題を呼んだ。それでも「50-50」は前人未到の景色なのだ。

 大谷は昨季までメジャー6シーズンで通算86盗塁を記録している。2021年に自己最多の26盗塁、昨年も20盗塁。「シンプルに足が速いです。一歩一歩が大きい」と、桁外れの身体能力を絶賛する。

 しかし、スピードだけで盗塁はできない。飯田氏は大谷の特長をこう説明する。「彼の場合は、意欲が凄いんですよ。本当に野球が好きなんだな、勝ちたいんだなと感じますし、伝わってくる。怪我のリスクがあっても、誰も止められないでしょう。大谷選手なら『いや、勝つために走ります』って言いそうですよね。行く時は行くと本能でスタートする。盗塁は何よりも意欲が大切なんです」。

打者専念で増えるチャンス…昨年導入の新ルールも追い風

 飯田氏は、今年は大谷に盗塁のチャンスが増える要素が多いと指摘する。先発登板に向けた調整はなく、体力をフルに攻撃面に使える。また、メジャーは昨年から新ルールを導入。投手のけん制の数が制限された。走者にとってはスタートが切りやすくなっている。

 盗塁限定で、大谷に立ち塞がる壁はあるのか。飯田氏は昨年まで所属したエンゼルスと強豪ドジャースでは、相手チームの対応が異なってくると推測する。「ドジャースは大谷選手の後ろを打つ選手が良いので、敬遠での出塁は減るのかな。弱かったエンゼルスだったから、大谷選手でもある程度ノーマークにしてくれて走れた部分があったかも。ドジャースなら投手のクイックなど、相手バッテリーの警戒が厳しくなるかもしれません」。

 20日のパドレスとの開幕戦。大谷は3回に3番のフレディ・フリーマン内野手の初球にスタートを切り、驚異の加速で楽々と二盗を決めた。

 大谷は、昨季最終盤の9月初旬以降は欠場したにも関わらず44本塁打。シーズンを通じて出場したならば――。「ホームラン50本は、いける。50-50は、今まで誰も成し遂げていないじゃないですか。大谷選手ならできますよ」。新たな偉業樹立に強い期待を寄せる。

(西村大輔 / Taisuke Nishimura)

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