“オリフィーバー”に沸く宮崎市 観客数は4年で2倍以上…右肩上がりで増え続けるワケ
今春キャンプの観客は24万7196人…昨年の20万7000人を上回り過去最多だった
パ・リーグ4連覇を目指すオリックスは、人気も右肩上がりだ。2月の宮崎キャンプの観客数は24万7196人。2015年に宮崎・清武にキャンプ地を移転した後では昨年の20万7000人を上回り、過去最多を更新した。昨年の動員数を2月中旬の時点で超え、最終的な入場者数はコロナ前の2020年と比べて約2.1倍増となった。
最も観客が集まったのは3連休中日の2月11日で、2万9196人を記録。バレンタインデーの2月14日は平日にも関わらず1万1500人を動員した。2022年までオリックスに在籍し、このキャンプでは飲食店スタッフとして出店した榊原翼さんは「僕の現役時代は、ブルペンを見に来るお客さんは1列だった。今では見学待ちの列ができているなんて」と驚きの様子。キャンプ期間中、イカ焼きやホタテ焼きを店頭販売したが、用意していたイカ60食分、ホタテ60食分がすぐに完売になる盛況ぶりだったという。
なぜこんなにも賑わっているのか。パ・リーグ3連覇という実力はもちろん、オリメン投票をはじめとするイケメン選手の露出がSNSを通じて広がった側面もあるが、理由の1つは宮崎での人気の高まりだ。宮崎市観光協会でソフトバンクのキャンプを担当している岡崎弘輔さんによると、ソフトバンクでは「コロナ以前の入場者数に戻っていない」という。ソフトバンクのキャンプに行っていた人が、オリックスのキャンプに行くようになったと考えられる。都城高出身の山本由伸投手の活躍や、2023年に宮崎市内で行われた日本一祝賀パレードなどでも認知度を上げたと考えられる。
もう1つは、学生旅行の復活。コロナの影響で学生同士の旅行に行けなかった期間を経て、どこか足を伸ばそうかと考えても、円安の影響で気軽に海外に行くのも難しい。2月は卒業旅行シーズンでもある。ならば国内旅行をキャンプ地でと考え、平日の旅程を組む若年層が多かったのではないだろうか。宮崎市内にはリゾートホテルや観光ホテルよりも安価でシンプルなサービスを売りとするビジネスホテルが多く、宿よりもグッズやグルメに投資したい層ともマッチする。
雨でもハズレがないという期待もある。室内練習場やブルペンは雨でも見学できるため、キャンプ地に行ったのに選手を見られなかった最悪の事態は防げる。2月23日に韓国・斗山ベアーズとの練習試合が雨天中止になると、選手たちはファンへの即席サイン会を実施した。中嶋監督自らが提案して飛び入り参加したことも話題となり、「雨でもいいことがありそう」というイメージはいい方向に作用しそうだ。
キャンプの一日は午前10時から遅くても午後3時頃まで。残りの時間を観光やグルメ巡りに費やせるため、スケジュールを組み立てやすいのもメリットとして挙げられる。宮崎市は街なかの機能がコンパクトで移動がしやすく、飲食店も名物も数多くて飽きることがない。
宮崎交通はオリックス人気に備え、昨年3便だった清武総合運動公園から宮崎駅行きの臨時バス(平日)を今年は5便に、土・日・祝日は5便から8便に増やして対応した。今後は他のキャンプ地、ソフトバンクの生目の杜運動公園(アイビースタジアム)、巨人のひなた宮崎県総合運動公園(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)をつなぐ臨時シャトルバスの便数増加で、キャンプ地のはしごがより気軽にできるようになることに期待がかかる。
(「パ・リーグ インサイト」海老原悠)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)