昨年の開幕投手、シーズン成績はどうだった？　新人王に輝いた大器、苦戦した右腕

楽天・田中将大は11年ぶりNPB開幕投手で白星を挙げた

　開幕投手という肩書は、先発投手にとって非常に大きな栄誉の一つだ。2023年にパ・リーグ各球団で開幕投手を務めた投手たちは、シーズンでどのような成績を残したのだろうか。今回は6人の開幕投手たちの球歴と昨季の投球を振り返り、各投手が見せた活躍について検証する。

・加藤貴之投手（日本ハム）：1年目の2016年から先発と中継ぎを兼任して30登板。リーグ優勝と日本一に貢献した。2019年以降はショートスターターとして新境地を開拓するなど、幅広い役割をこなした。2022年には交流戦で26イニングを投げて無失点。シーズン全体でも防御率2.01と抜群の安定感を発揮した。147回2/3で与えた四球は11。K/BBが8.91と、制球力を示す指標が歴史的な水準に達した。2023年も自己最多の163回1/3を消化し、防御率2.87と2年連続で2点台の防御率を記録した。K/BBも5.19と引き続きハイレベルな水準で、制球力を武器に先発の柱として奮闘した。

・田中将大投手（楽天）：2007年に高卒新人ながら11勝を挙げて新人王に輝き、2009年には15勝で球団初のAクラス入りに貢献。2011年には最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝いて沢村賞を受賞した。2013年には24勝0敗、防御率1.27と、圧倒的な投球を披露。2度目の投手3冠と沢村賞にも輝き、球団初のリーグ優勝と日本一の立役者となった。2014年以降はヤンキースで活躍し、2020年オフに古巣の楽天に復帰した。2023年は11年ぶりとなるNPBでの開幕投手を務めた。開幕戦では5回2/3を1失点で勝ち投手となったが、その後は苦しい投球が続き、防御率4.91と自己ワーストの成績に終わった。

・高橋光成投手（西武） ：1年目の2015年から1軍で5勝を挙げ、2016年には先発ローテーションに加わって118イニングを投じたが、2017年以降は故障もあって登板機会を伸ばせず。2019年には自身初の2桁勝利を挙げ、リーグ連覇に貢献した。自身初の開幕投手を務めた2021年には2桁勝利、2022年は自己最多の12勝を記録した。2023年は3年連続で開幕投手を務め、防御率2.21。体調不良の影響で離脱する期間がありながら3年連続の2桁勝利を記録した。

1軍デビューが開幕投手…オリ・山下は9勝を挙げて新人王に

・小島和哉投手（ロッテ）：1年目の2019年から先発として10試合に登板し、2020年は7勝を記録した。2021年は初めて規定投球回に到達し、初の2桁勝利となる10勝を記録した。2022年はキャリアベストの防御率3.14を記録したものの、打線とかみ合わずに3勝11敗と大きく負け越した。初の開幕投手を務めた2023年は勝てば2位、負ければ4位となる10月10日のシーズン最終戦で7回無失点と好投し、2年ぶりの2桁勝利に到達。シーズンの趨勢を分ける試合でチームをAクラスに導く投球を見せた。

・山下舜平大投手（オリックス）：高卒1年目の2021年に2軍で18登板。2022年は2軍での投球内容を向上させ、クライマックスシリーズと日本シリーズでベンチ入りした。2023年にはオープン戦で防御率2.35、奪三振率13.50をマークし、開幕投手に。プロ初登板でもあった試合で5回1/3を7奪三振1失点と力投した。8月5日の時点で9勝をマーク。8月26日の試合を最後に故障で長期離脱し、2桁勝利には届かなかったが、防御率1.61、奪三振率9.57の成績を記録。新人王に輝くなど、3年目で大ブレークした。

・大関友久投手（ソフトバンク）：2019年育成ドラフト2位で入団し、2021年途中に支配下契約を勝ち取る。同年はリリーフとして12試合に登板した。2022年は開幕からローテーションに加わり、リリーフも務めながら安定した投球を披露。8月に精巣がんと診断を受けて戦線離脱したものの9月末に1軍へ復帰。21登板で7勝を挙げた。2023年の開幕戦では、7回無失点で白星を手にした。7月13日時点で防御率2.20と好投を続けていたが、体調不良の影響で夏場以降は調子を崩し、17試合の登板にとどまった。それでも、防御率2.92と3年連続で防御率2点台を記録した。

　昨季開幕投手のシーズンを振り返ると、高橋と小島が2桁勝利を記録し、山下は新人王に輝いた。加藤と大関は防御率2点台をマークした。2024年に開幕のマウンドを託される6投手たちも年間を通じて安定した投球を披露できるか。今季はぜひ注目してみてほしい。

（「パ・リーグ インサイト」望月遼太）

（記事提供：パ・リーグ インサイト）