オリ開幕3カード負け越しはなぜ起きた? 専門家が指摘…生まれない“相乗効果”
佐々木朗から序盤で2度リードするも…先発の曽谷が4回途中4失点で降板
■ロッテ 5ー2 オリックス(7日・ZOZOマリン)
リーグ3連覇中の王者が苦しんでいる。オリックスは7日に行われたロッテ戦を2-5で敗れ、開幕から3カード連続負け越しで単独最下位に転落した。リーグワーストのチーム打率.179と状態が上がらない状況に、野球評論家の新井宏昌氏は「西川加入の相乗効果が生まれていない」と、指摘した。
不安定な立ち上がりを見せた佐々木朗から先制するも勝ちきれなかった。初回に1死から西野が左中間へ三塁打を放ち暴投で先制。同点に追いつかれた直後の2回も1死一、二塁から福田が中前適時打を放ち勝ち越し。だが、先発の曽谷が4回途中6安打4失点と踏ん張れず逆転負け。
ここまで9試合を戦い3勝6敗と苦しい状況が続くチームに新井氏は「実績ある打者が本調子ではなく、現状ではリードを奪われると追い越す力はない。中嶋監督も色々と選手を試しながらの状態。まだ、本来の戦い方はできない」と、チーム状況を分析した。
今季は投手4冠の絶対的エース・山本、昨季11勝を挙げた山崎福の先発2枚が抜けるも、広島から西川がFA移籍し打線の厚みは増した。若い投手陣の飛躍と強力打線で優勝候補の筆頭に挙げられていたが、ここまで苦しい戦いを強いられている。
「本来なら好打者の西川が入ることで森、頓宮、中川ら軸となる打者へのマークが分散する。相手バッテリーは警戒する打者が増えれば増えるほど、他の打者にも相乗効果を与える。だが、ここまで全員が不振になると打線が機能しない」
昨季首位打者の頓宮が打率.048と絶不調「楽に立てる打席が増えれば」
そのなかでも深刻なのが昨年、首位打者を獲得した頓宮だ。ここまで7試合に出場し打率.048(21打数1安打)と極度の打撃不振に陥っている。この試合を含め早くも2試合でスタメン落ちを経験。タイトルを獲り期待値が大きいだけに「内容や結果が出ずに自分自身を苦しめてしまう。周りは軸の打者として見るが、フルで活躍したのは実質1年。楽に立てる打席が増えれば復調の兆しは見えてくる」と指摘する。
これまで中嶋監督は調子の良い選手を積極的に使い、100通り以上のオーダーを組み打順を固定しない戦いを見せていた。それだけに「本来なら調子が悪くても打席に立ち、状態を上げたいところだが、まだ現状で難しい」と新井氏。シーズンは始まったばかりで、選手起用も手探り状態とみている。
投手陣は先発ローテの宮城、エスピノーザ、東、田嶋、山下が大崩れすることなく、リリーフ陣もマチャド、平野佳、山崎、新戦力・吉田の“勝ちパターン”が無失点と好調をキープ。それだけに僅差のゲームを勝ち切るためには打線の奮起が必要不可欠だ。
「一回りの対戦を終え、少しずつ復調のきっかけを掴めばいい。この段階で今年は打線がダメだと答えを出すのは違う。大味なゲームで勝つのではなく、昨年同様に競ったゲームを勝つ体制を整えることが求められると思います」
9日からは本拠地・京セラドームに戻り楽天、日本ハムとの6連戦が待っている。打線が復調し仕切り直しといきたいところだ。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)