山本由伸の“魔球”の原点 米驚愕「ヨーヨーカーブ」秘話…7歳から変わらぬ握り
山本由伸の「ヨーヨーカーブ」が持つ“秘密”
ギュンと曲がる“魔球”に熱視線が注がれている。ドジャース・山本由伸投手が投じる「カーブ」は大きな縦割れの軌道を描き、鋭く落ちる。6日(日本時間7日)の敵地・カブス戦に先発登板し、5回3安打無失点の粘投で、登板3試合目にしてメジャー初勝利を掴んだ。
ウイニングボールを掴んだ記念すべき登板で、最も注目を集めたのが変化の大きい「カーブ」だった。ピッチング・ニンジャの愛称で知られる投球分析家ロブ・フリードマン氏も「ヨーヨーカーブ」と表現し、落差の大きさを称賛している。
山本はカットボール、スライダー、スプリット(フォーク)、ツーシームなど、多くの球種を操るがブレーキの効いた「ヨーヨーカーブ」で直球との緩急差をつけ、メジャーの打者を相手に三振を奪っている。
山本にとって、カーブは「人生で初めて挑戦した球種」だった。岡山県備前市立・伊部小の1年時に「伊部パワフルズ」で野球を始めると、当初は捕手や二塁手を務めた。練習の合間で投手役を任されるタイミングがあり、その際に「遊び心」で投じたのがカーブだった。
7歳で覚えたカーブが“原点”
当時、投手が主なポジションではなかった山本は「小学生の頃は肩や肘に影響があってはいけないから、投げるのが禁止になっていました」と懐かしみを込めた笑顔で“魔球の誕生”を説明する。「変化球で最初に覚えたのがカーブです。みんなそうじゃないですか? なにか変化球が投げたいと憧れますよね」と7歳だった頃を回想する。
禁止されていたカーブは、当初グラウンドでは披露しなかった。庭や公園で「ゴムボール」を使って仲間たちと野球を楽しみ、次第に変化量の調整や軌道を読めるようになった。19年が経った今でも「握りや投げ方は変えていないですよ」と明かす。
少年時代の遊び心が生んだ“史上最強”の変化球。好奇心が生んだ武器ほど、強いものは見当たらない。