苦闘の新助っ人が感じたNPB…メジャー114発男が吐露 米との違い、首脳陣語る“課題”
西武のアギラーは30試合で打率.204、2本塁打10打点…8日に登録抹消
西武の新外国人ヘスス・アギラー内野手は、今月8日に右足首痛のため出場選手登録を抹消された。メジャー通算114本塁打を誇る大砲だが、30試合出場で打率.204、2本塁打10打点と苦闘していた。Full-Countでは抹消直前、異国で奮闘する心の内と、本領発揮を誓う思いを聞いた。
「ストライクゾーンにどんどん投げてくるアメリカと違い、日本のピッチャーはコントロールが良くて、インサイドもアウトサイドもコースいっぱいに出し入れしてくる」
ベネズエラ出身で、ブルワーズ時代の2018年にシーズン35本塁打108打点をマークし、オールスターにも出場した33歳が苦悩していた。チーム状態も良くないので、気持ちを切り替えていかなければとも語っていた。
嶋重宣打撃コーチは「日本の投手にまだ慣れていないところがあると思います。総じて日本の投手は高低、両サイドのコントロールが世界一ですから。ある程度時間は必要と見ています」と分析する。
平石洋介ヘッド兼打撃戦略コーチは「現状では、フォークを振らされて三振するケースが多いですね。3ボールからでもボールになるフォークを投げてくるようなところは、メジャーになかなかない、日本の投手の特長ですから」と指摘。それでも「アギラーは頭のいい選手です。ミーティングで日本の投手のデータを頭に入れ、対策にも耳を傾けていました。良くなっていくと思います」と期待を寄せている。
首脳陣は実績を尊重「“あなたの力をください”と期待している段階」
自身の打撃スタイルは崩していない。アギラーはセンター方向を意識しつつ、「今まで培ってきた自分の持ち味を変えずに、どのように日本のピッチャーに対応していくかが今の課題と感じている」と語っていた。
試合前の練習では、ルーティンである体幹のエクササイズを必ず行う。ティー打撃ではボールを置いて左手1本、右手1本で交互に打った後に両手で打ち、フリー打撃に入る。南和彰打撃投手は「アギラーは基本的に、右方向へ打った後、センター中心に打つことが多い。毎日考えながら打っているのが伝わってきます」と感心している。
メジャーで実績を残したアギラーへの期待は、まだまだ高い。スタメン出場した29試合は、全て4番で起用されている。嶋コーチは「相手投手への対応というより、自分のルーティンを大事にしている時期なのかなと思います。われわれも、今後長く不振が続くなら考えますが、あれこれ手を出さず、“あなたの力をください”と期待している段階です」と実績を尊重する。
故障による登録抹消を機に、打撃改造に舵を切るのか。期待の大砲が岐路に立とうとしている。
(倉林知子 / Tomoko Kurabayashi)