「打てる捕手」へ進化するロッテ26歳 昨年までとは“別人”の対応力…驚愕の98.5%
ロッテ佐藤は直球への対応が向上…コンタクト率が98.5%、打率は.378
攻守両面でチームの要となることを期待され、2019年ドラフト2位でロッテに入団した佐藤都志也捕手。昨季までの4年間は満足のいく打撃成績を残すことができなかったが、5年目の今季は5月12日終了時点で25試合に出場して打率.321を記録。本塁打は出ていないものの、開幕からバットで存在感を示している。本コラムでは、佐藤の好成績を生み出している打撃の変化を見ていきたい。(記録はすべて2024年5月12日終了時点)
初めに紹介するのは打球方向の変化だ。昨季までは全体的に引っ張り傾向が強かったが、ストレートと変化球に分けて年度別の打球方向を見てみると、今季はストレートをレフト方向、左バッターである佐藤にとって逆方向に飛ばしていることが分かる。変化球を捉えた際は昨季までと同様にセンターから右方向への打球が多く、球種によって打球を広角に打ち分けていることが見てとれる。
球種別のコンタクト率で、毎年のリーグ平均はストレートが84~86%、変化球が72~74%程度となる。最も目を引くのは98.5%と非常に高い今季のストレートコンタクト率だろう。ここまでストレート65球にスイングを仕掛け、空振りはたったの1つ。しかもその1つはハーフスイングを取られたもので、打ちにいっての空振りは1度も喫していない。
リーグ平均以下の82.2%だった前年と比べると、ストレートへの対応力は格段に向上しているといえる。元々平均以上の数値を記録していた変化球コンタクト率も同水準を維持しており、変化球への対応も決しておろそかになっていない。今季はストレートを逆方向にはじき返しており、直球を引きつけて打つ意識を強く持っていると考えられる。この新たな打撃スタイルがストレートと変化球両方への対応を可能にしているのだろう。
ストレートへの対応について、投球をバットでコンタクトした際、その結果はファウルまたはインプレー打球のどちらかになる。ストレートコンタクト数に占めるインプレー打球の割合では、今季のリーグ平均が47.4%である中、佐藤は66.7%と高い数値を記録している。ストレートを引きつけて逆方向へ打つ意識を持ちながら、振り遅れて空振りやファウルにすることなく、しっかりとフェアゾーンに打球を飛ばしているということになる。
昨季までのストレート打率は良くて2割台中盤だったが、今季はここまでリーグ屈指の打率.378を記録。例年であれば2割前後と低調な変化球打率も.256と良化しており、確率良くヒットを放つことができている。広角に打ち分ける打撃とストレートへの対応力、この2つの変化が好成績につながっているのだろう。ここ数年、正捕手と呼べる存在がいないチームにとって、26歳の飛躍が大きなプラスとなっていることは間違いない。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)