松尾汐恩の加入で「クビになると…」 DeNA6年目・益子京右の強靭な下半身に見えた覚悟

DeNA・益子京右【写真:町田利衣】
DeNA・益子京右【写真:町田利衣】

大和&牧と2年連続で合同自主トレ「パワー不足だなと痛感」

 DeNAの益子京右捕手は、背水の思いでプロ6年目を過ごしている。「毎年思っていますけど、本当にもうクビになるかもしれないので、1軍の戦力にならないといけない。覚悟というか、後悔しないようにと思って過ごしています」と話す眼差しは鋭かった。

 その決意は、体つきに表れていた。見るからにたくましさを増した下半身。愛されキャラの23歳が打席に入れば、チームメートから「タンク!」の声が飛ぶほどだ。「ここ2年くらいで7キロ増えました」と笑った。

“肉体強化”のキッカケは、同僚の大和内野手、牧秀悟内野手とオフに合同自主トレを始めたことだ。2022年オフに志願し、2023年オフもともに汗を流した。「パワー不足だなと痛感していたので。牧さんと同じパワーを得るためには鍛えないといけない」と奮起。あくまでオフの取り組みで、シーズン中は体を大きくするトレーニングはしていないというが「打球は飛ぶようになりました。だから実になっているんだなというのは感じます」とうなずく。

 2018年ドラフト5位で青藍泰斗高から入団。2021年の最終盤に1軍デビューすると、初出場試合で投手3人を完封リレーに導き、プロ初安打もマークした。しかし定着することはできず、昨年もわずか1試合出場にとどまった。後輩も多く加わり、焦る気持ちも大きい。

DeNA・益子京右【写真:町田利衣】
DeNA・益子京右【写真:町田利衣】

1軍出場わずか5試合「今年こそ、やらないと本当に終わり」

「(戦力外は)3年目が終わるくらいのときからずっと頭にありました。特に(松尾)汐恩を獲って、昨年は一番クビになると思っていました。本当に終わりだなって。今年こそ、やらないと本当に終わりだと思うので、マジでちゃんと結果を出さないといけないんです」

 今年のキャンプはファームで過ごし、オープン戦も2試合に出場したのみ。1軍の捕手陣は2学年上の山本祐大が頭角を現し、ベテランの伊藤光と戸柱恭孝がいる。簡単に割り込める隙はないことはわかっている。それでも“そのとき”を手繰り寄せるために必死の毎日だ。「数字、打率とか、数字的なことはよくないですけど、それ以外の感覚は例年よりいい。捕手の方はだいぶ安定してきたので、あとは打つ方です」と語気を強めた。

 まだルーキーだった2019年の9月、リハビリのために2軍に合流した筒香嘉智外野手の練習姿勢、考え方から“プロとは何か”を学んだ。バットをもらうなど気に掛けてもらい、渡米後にも関わらず2019年にプロ初安打を放った際にはお祝いの花が届いたほどだった。

「帰ってきて、今回も積極的に話しかけてくださいました。ゴウさんと1軍で一緒にできるといいですね」。5年間での1軍出場はわずか5試合。このまま終わるわけにはいかない。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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