敵地となっても…「感動しました」 古巣マウンドで佐々木千隼が受けたサプライズ
現役ドラフトでロッテ→DeNA移籍の佐々木が古巣本拠地で登板
慣れ親しんだ球場に、いつもの登場曲が響き渡った。ユニホームは変わり“敵”となったにもかかわらず……。DeNAの佐々木千隼投手は12日、プロ入りから昨季まで7年間を過ごしたZOZOマリンでのロッテ戦に登板。1回を無失点で試合を締めくくった。特別なマウンドに「うれしかったです」と感慨深げだった。
9回。「ピッチャー・佐々木千隼」のコールに、三塁側だけでなく一塁側からも温かい拍手が起きた。そして球場に流れたのが、Perfumeの「FLASH」。1年目から登場曲として使用し、ZOZOマリンではお馴染みともいえる。凱旋した右腕へ、球場側からのサプライズ演出だった。
「凄いうれしかったです。『えっ、流れてる!?』って思ってビックリして……温かいですよね。感動しました」
2016年ドラフト1位でロッテに入団。外れながら5球団が競合するほど期待は高かった。ルーキーイヤーは先発として4勝。2021年には救援として54試合に登板した。しかしその後は登板機会を減らし、2023年はわずか2試合。同年オフの現役ドラフトでDeNAに移籍した。
5月26日に1軍昇格「投げたいなーとは思っていました」
開幕は2軍スタートだったが、5月26日に1軍昇格。「投げたいなーとは思っていました」と年に1度の交流戦で古巣との戦いを見据えていた。元同僚たちとも旧交を温め、登板も実現した。「リーグが違うからここしかないので、1軍にいられて、投げられてよかったです」と純粋に喜んだ。
登板前には「カート(リリーフカー)の乗り口が違って、ぐるっとしちゃいました」とこれまでとの違いに驚きもあったようだが、噛みしめるように14球を投じ、ロッテファンにも元気な姿を見せた。
「ベイスターズはマリーンズと似ている雰囲気もあって、やりやすいです。スタジアムの雰囲気も似ている気がします。もうすっかり慣れましたよ」とベイスターズブルーのユニホームで笑顔を見せた佐々木。かつての本拠地で聞いた「FLASH」とファンの拍手は、新天地で歩む右腕の背中を押した。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)