ベテラン“不在”の新天地…若手に伝える経験値 マチャドが見たオリックス「良いファミリー」

オリックスのアンドレス・マチャド【写真:北野正樹】
オリックスのアンドレス・マチャド【写真:北野正樹】

オリックスの新助っ人・マチャド「良いチーム、良いファミリーだと思います」

 郷に入れば、郷に従う。今季からオリックスに新加入したアンドレス・マチャド投手が、日本の野球をリスペクトして「新守護神」の期待に応えている。「今いるのは日本だから、準備の仕方などのルールは日本のやり方に合わせていく必要があると思っています」。ベネズエラ出身の31歳右腕は、当然だと言わんばかりに大きな目を見開いた。

 MLBでの経験は豊富だ。2010年にドラフト外でロイヤルズに入団。2017年にメジャーデビューし、移籍したナショナルズでは2021年に40試合に登板、1勝2敗、11ホールド、防御率3.53。2022年は自己最多の51試合に登板し、2勝3ホールド、防御率3.34と結果を残し、昨季は44試合に登板し4勝1敗4ホールド、防御率5.22。メジャー4年の通算は137試合、7勝3敗18ホールドの防御率5.26の成績だった。

 昨年11月にオリックスへの入団が決まり、ベネズエラ出身で来日2年目となるマーウィン・ゴンザレス内野手と自主トレを行った。日本の野球事情を事前に知っていたこともあるが、メジャー実績におごることなくチームに染まる努力を惜しまない。厚澤和幸投手コーチは「若い投手らへのアドバイスを含め、メジャーの経験値を惜しみなく注いでくれているのは助かりますね」と感謝する。

 実力も折り紙付きだ。来日初登板となった3月30日のソフトバンク戦(京セラドーム)では、最速162キロのストレートや鋭く落ちる150キロ台の高速チェンジアップなどで打者4人を16球、1安打、3奪三振の衝撃デビューを果たした。

 守護神・平野佳が故障で離脱後は、マウンドだけではなくブルペンでも“代役”を果たしている。5月26日の西武戦(ベルーナドーム)では、支配下選手登録されプロ初登板を控えた才木海翔投手の緊張をほぐすため、2度もそばに寄り添い、深呼吸をさせて落ち着かせる場面があった。

「僕も初めてメジャーに呼ばれた時には高ぶり、興奮したことがあった。彼も同じように見えたんだ」。1イニングを13球、無安打無失点でデビューを飾った才木は「マチャドさんのお陰で落ち着いてマウンドに向かえました」と目を輝かせた。

 マチャドは、フォア・ザ・チームの精神を貫く。「(比嘉、平野佳の)ベテラン2人がいないので、若い投手に教えられることは教えたいし、助けたい。でも、彼らから学ぶこともあります。僕より(日本野球の経験が)長いですから。良いチーム、良いファミリーだと思います。もう10年くらい一緒に過ごしている感じがしますね」。真摯に日本野球に向き合い、今日もチームのために腕を振る。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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