好投しても「負けたら意味ない」 西武24歳に見えた課題…守れなかった“鉄則”
西武・隅田は1点リードの8回1死一、三塁で降板…救援のヤンが逆転打浴びた
■ロッテ 4ー3 西武(6日・ベルーナドーム)
西武の隅田知一郎投手は6日のロッテ戦(ベルーナドーム)に先発して好投し、1点リードの8回1死一、三塁で降板。しかし救援投手が逆転打を浴び、7回1/3を4失点で今季6敗目(6勝)を喫した。チームは今季ロッテに10戦全敗となった。
同一カード全敗の悪い流れを断ち切ろうと、24歳左腕は奮闘した。7回を投げ終えた時点で5安打7奪三振1失点に抑え、球数はまだ84球。チームは3-1でリードし、今季ロッテ戦初勝利は目前に見えた。ところが、1死から3連打で1点差に詰め寄られ、なおも1死一、三塁で3番の佐藤都志也捕手を迎え、降板を命じられた。
渡辺久信GM兼監督代行は「佐藤くんはそれまで全打席で隅田にタイミングが合っていて、嫌な感じがした」と説明する。結果的に、救援したジェフリー・ヤン投手が佐藤に右翼線へ逆転2点二塁打を浴び、隅田は4失点で敗戦投手となった。
成長の跡は見せている。2021年ドラフト1位で西日本工大から入団するも、1年目は1勝10敗と大きく負け越した。2年目の昨年は9勝10敗、防御率3.44と先発ローテーション投手として合格点の成績を残した。今季は6月12日の広島戦で、99球4安打無失点に抑え“マダックス”(100球未満で完封)を達成。前回登板の同29日・楽天戦でも、8回106球で2失点に抑え自身3連勝を飾るなど、少ない投球数で抑える術を身につけたように見える。
貯金もたらす投手へ「点を取ってもらった後を押さえなきゃいけない」
この日も「球数はそんなに気にしていません」と言うものの、7三振のうち5つを3球で奪う“省エネ”ぶり。1つはスリーバント失敗が三振としてカウントされたものだが、残る4つはいずれもカウント0-2からスプリットを空振りさせた。バッテリーを組んだ古賀悠斗捕手は「(3球三振は)腕の振り、スプリットの切れ、ストライクゾーンを外しながらも相手打者が手を出す絶妙な所に投げるコントロールが、そろっていたからこそ取れたのだと思います」と証言した。
反省点を挙げるとすれば、本人が「点を取ってもらった後だったので、抑えなきゃいけないですね」と語ったように、“味方打線が点を取った直後のイニングは、何としても無失点に抑えろ”とされる、野球で勝つための鉄則を守れなかったことだろう。味方が2点を先取した直後の4回に、佐藤に右翼フェンス直撃の適時二塁打を浴びて1点を返され、逆転された8回も、7回に山村崇嘉内野手の右前適時打で1点をもぎ取った直後だった。
「(好投しても)負けたら意味がないです」と肩を落とした隅田。味方打線が12球団ワーストの172得点、チーム打率.205と振るわず、援護が期待できない現状は気の毒だが、先発ローテの軸として存在感は増している。今季も半ばにして6勝6敗の五分となったが、“チームに貯金をもたらす投手”への脱皮は、今季中に遂げておきたいところだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)