吉田輝星「僕らの夏が来た」 “金農旋風”から6年…同じユニ着る弟・大輝の存在「気になります」

オリックス・吉田輝星【写真:真柴健】
オリックス・吉田輝星【写真:真柴健】

オリックス・吉田輝星、母校を応援しながら「大輝ちゃん、大丈夫かなぁ??」

 ジリジリの日差しが心地よい。オリックスの吉田輝星投手が、母校・金足農業(秋田)の躍進を見届けている。エースの吉田大輝(2年生)は、7歳下の弟。「歳も離れているので……。(連絡など)きっちりしてますよ(笑)」。節目のやりとりに、安心を覚える。

 10日の初戦。相手は夏の甲子園出場11回を誇る明桜だった。3-2の熱戦を画面越しに見た輝星は「僕自身も刺激をもらいました。良いことだと思う。お互い流れに乗って行けたらなと思います」と白い歯を見せた。

 大輝からは「(初戦の)対戦相手が決まった時にLINEがきました。初戦に勝ってからは『やったぜ!』みたいな連絡がきたので『おめでとう。優勝目指して頑張ってね』と返しましたね」と兄弟LINEの中身を明かした。

 雑談の中で記者にも弟がいることを知ると「やっぱ、可愛いですよね……!」と頬を赤くする。近くに住んでいないがゆえ、ふとした瞬間に「大丈夫かな?」と思うことがある。照れながら「気になりますよね、わかります、わかります……!」と同調する輝星の姿は印象的だった。

“金農旋風”を巻き起こした時、大輝は11歳だった。輝星は「野球をしている姿は映像でしか見たことがないんです。だから『大輝ちゃん、大丈夫かなぁ??』とか、少し心配に思ったりもしますよ。見守ってる感じ。歳が離れている分、親の気持ちがすごくわかります」と汗を拭いながら、腕を組んだ。

 金足農は13日の3回戦(大館桂桜戦)にも勝利し、ベスト8進出を決めた。あと3勝で、悲願の甲子園にたどり着く。同じ紫のユニホームに、背番号1をつける弟の勇姿は「生で見たことがないので……。まだ実感が湧かないですけどね。是非、甲子園に行ってほしいですね。僕も応援に行きたいです」と明るい雰囲気で語る。

 少しだけ真剣な表情に戻すと「弟が甲子園に出たら、注目を浴びそうなので……。兄の威厳を保つのに必死ですよ」と真っすぐな視線で話す。「しれーっと甲子園、観に行くのが今の楽しみです。『僕らの夏が来た』と思っていますよ、自分の中では(笑)」。始まりを告げるサイレン、吹奏楽が奏でるメロディ、無数のフラッシュ……。銀傘に太陽光が差し込み、選手たちがシャキンと輝く夏が来る。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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