「.700」超え8人の衝撃 データで考察する超攻撃型打線…DeNA強さの秘訣
DeNAは100打席以上の打者でOPSが0.7を超えるバッターが8人
DeNAは三浦大輔監督就任後、1年目こそ最下位に終わったものの、その後3シーズン連続でAクラスに入り、今季こそ進化の真価が問われる立場となった。ただ、昨シーズン先発投手として獅子奮迅の活躍をした今永昇太投手のメジャー移籍とトレバー・バウアー投手の離脱により、前評判はそこまで高いものではなかった。
打撃陣では開幕当初に2番から5番までにタイラー・オースティン内野手、佐野恵太外野手、牧秀悟内野手、宮崎敏郎内野手といった実績のある打者に加え、1番にドラフト1位の度会隆輝外野手、8番に石上泰輝内野手と2人のルーキーを配置。超攻撃型打線を組んだが、早々にオースティンが離脱してしまった。
3、4月の本塁打が8本、長打率.310と長打が出ず、得点力不足に陥った。しかも投手陣も東克樹投手以外でのQSが望めず。試合が作れない状況となり、開幕でいきなりつまづく形となった。5月には4番の牧も登録を抹消され、苦境にと思われたときに救世主となったのが筒香嘉智外野手である。
筒香の成績は打率こそ.206であるが、本塁打は6本、本塁打率は21.0であり、巨人の岡本和真内野手や牧のペースに匹敵する。状況が一変したのは交流戦の後半。パ・リーグ相手に7連勝を飾り、交流戦で4つの勝ち越しとなった。
オースティンと牧がスタメンに戻り得点力が一気に増大。そして東に追随するかのように、アンドレ・ジャクソン投手、アンソニー・ケイ投手もQSを重ね、先発投手としての役割を果たせるようになった。さらには、石田裕太郎投手がデビュー2戦目で95球無四球完封というマダックスを達成するなど新戦力の台頭もあった。
今季前半戦で65試合スタメンマスクをかぶる山本祐大捕手は規定打席に達していないものの、打率 .308、OPS.736。なお、DeNAは100打席以上の打者でOPSが.700を超えるバッターを8人も抱えている。驚異の攻撃力で、上位進出を目指す。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。