ド軍左腕が左足に彫った“ポケモン” 精神科医にも通院…タトゥーに込めた家族への思い
ドジャースの左腕バンダが語るポケモンタトゥーを入れた理由
ドジャースのアンソニー・バンダ投手は今季、自己最多となる36登板で防御率2.39をマーク。怪我人が続く中、ブルペンを支えている。スポーツメガネに丸刈りで剛球を投げ込む左腕の両腕にはびっしりと彫られたタトゥー。「他の人がどう見たって気にしない。僕にとっては大きな意味がある」と刺青に込めた意味を明かした。
ユニホームから覗かせる両腕だけでなく、胸元や腹部、両足など、バンダの全身至る所にタトゥーが刻まれている。中でも左足に描かれているのは、ポケモンのフシギバナやドラゴンボールなどの日本アニメ。「僕と兄弟たちが好きなんだ。アニメが大好きだから、アニメのスリーブタトゥーを入れたかった」と少し笑顔を見せる。
テキサス州南部のコーパス・クリスティで育った左腕は幼少期に多くのトラウマを抱えていた。「とても暗い話だから個人的なこととして留めておきたい。何かまた悪いことを呼び起こさせたくないんだ」。内容こそ明かさなかったが「辛い時期を理解して乗り越えるのに、タトゥーは大きを意味を持っているんだ」と感謝する。
背中や顔、右足の一部以外は全てと言っていいほど、刺青が彫られている。しかし、かつては「父はタトゥーが嫌いだったんだ」と驚きの事実を明かす。それでも「人生の良いことも悪いことも象徴しているけど、それでいいんだよ。それが人生を美しくするものなんだ」。覚悟を持って自らの体に刻み込んだ。今では両親もバンダのタトゥーを気に入っているという。
メジャー定着できない日々…2018年からは「精神科医にも通った」
プロ入り後もメジャーに定着することはなかなかできず、今年5月にドジャースとマイナー契約。これが8球団目だった。精神的に不安定な時期もあり「今まで色々なセラピーを受けたり、2018年からは精神科医にも通った」。ただ、昇格後の今ではドジャースの一員として、自らの気持ちも落ち着いている。「とても楽しい。(メジャーでの生き残りをかける)競争も激しいし、チームも勝利を期待されている球団だし。この球団でプレーする1人になることはとても楽しいよ」と自身の置かれた状況に充実感を滲ませている。
今季はドジャースで1勝2敗、防御率2.39。中継ぎ陣の離脱者が続出したこともあり、終盤を任されることも増えた。4日(同5日)の敵地・アスレチックス戦では2020年以来4年ぶりキャリア2度目のセーブをあげた。「自分自身について多くを学んだ」と成長を実感する。
米国は日本と比べてタトゥーに対する偏見は少ないように見られるが、実際にはネガティブな印象を持たれることもある。それでも「僕のタトゥーの多くは家族のためのもので、大きな意味がある」と他人の目は気にしない。家族の思いが詰まった左腕を振って、ドジャースのブルペン、そして自らの気持ちを支えている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)