“困った時のノブ”が続ける奮闘 救援陣を支える山田修義が求めた変化…「怖さはありません」
オリックス・山田修義がたどり着いた“答え”…「ストレートを磨くこと」
変化を恐れず、新境地を開く。オリックス・山田修義投手がストレートの球威を上げ、安定した投球を続けている。若手選手が輝くチームで、プロ15年目の左腕が存在感を示している。「若くてスピードの速い、良いピッチャーばかりなので、そういう子たちに負けないように頑張っている感じですね」。恥ずかしそうに柔和な顔をほころばせるベテランの優しい姿がそこにあった。
悔しさばかりの1年が、山田の意識を変えた。3連覇初年度の2021年は43試合に登板し、防御率2.27。25年ぶりのリーグ優勝に貢献したが、翌2022年は相手左打者にも勢いのある右投手をぶつけるケースが多くなり、12試合登板にとどまった。
再びマウンドで輝くため、たどり着いた先は「ストレートを磨くこと」だった。「悔しさもありましたし(武器となる球種が)スライダーしかなくて。もう1回、ストレートを見直そうというきっかけにもなりました」。球速を上げるため、トレーニングや投球フォームを見直した。中垣征一郎巡回ヘッドコーチに相談し、腕の使い方をショートアームに変え、体重移動を考えて、足の使い方も変更した。
30歳を過ぎてから、新たな挑戦。「怖さはありませんでした。このままだったら、もう終わっていくだけだと思ったんで。何かを変えなきゃいけない」と、背水の陣であったことを明かす。ストレートの球威が増し、伝家の宝刀であるスライダーにも、さらに磨きがかかった。今季はここまで39試合に登板し、3勝1敗、12ホールド、防御率2.06の成績を残している。
安定した投球内容に首脳陣の信頼も厚く、右打者を相手に登板する機会が増えた。「与えられた仕事を淡々とやるだけなので」と控えめに語るが、今季の目標は「まだ投げたことのない50試合に登板してチームに貢献すること」だと丁寧に言葉を紡ぐ。「楽しいですね。まだまだ、若い子たちに負けない、という気持ちでやっています」。充実感いっぱいで、腕を振り続ける。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)