日本ハム宮西尚生が“予言”していた柳川大晟の覚醒 育成→代役守護神…21歳の潜在能力
5月に支配下を掴んだ日本ハム高卒3年目の柳川が7セーブをマーク
最終回のマウンドも、板についてきた。日本ハムの高卒3年目・柳川大晟投手が“代役守護神”として早くも7セーブをマーク。育成出身で今年5月に支配下昇格を果たしたばかりの21歳が恐ろしいスピードで“出世”を遂げているが、その潜在能力に太鼓判を押していたのが、チーム最年長の宮西尚生投手だ。
8月4日のソフトバンク戦で前人未到の400ホールドを達成した17年目のベテラン左腕は、近年は2月の春季キャンプをファームの沖縄・国頭村で過ごす。一回り以上も年が離れた若手たちとは「話が合わへん。何の話題をしてるか分からん」と苦笑いするが、「面白い選手がたくさんいる」と“逸材”たちには興味津々。そんな中で「特に」と名前を挙げていたのが、この時点では育成選手だった柳川だった。
「球がエグい。昨年のキャンプでも片鱗はあったけど、1年間でかなり成長した。今年の方が良いし、今年ちゃんと見たけど球質がいい。凄い球を投げている。もちろん細かいところはこれからだけど、順調に成長したら確実に凄い投手になると思う。自信と経験がつけばいけるんじゃないかな」
“予言通り”と言ってもいいだろう。プロ初登板初先発となった5月26日の楽天戦(楽天モバイルパーク)こそ3回3失点で黒星を喫して、翌27日に抹消となったが、7月16日に再昇格すると救援として存在感を発揮。守護神を務めていた田中正義投手が8月6日に登録を外れると、7日に初めて大役を任されプロ初セーブをマークした。
新庄監督も大絶賛「心臓はバクバクしていると思うけど、見た目はクール」
その後も自身6試合連続セーブ。新庄剛志監督も「心臓はバクバクしていると思いますけど、見た目はクールでね。さすが九州男児」とマウンドさばきを大絶賛した。大分県出身で、九州国際大付高から2021年育成ドラフト3位で入団した右腕。191センチの長身から投げ下ろす角度ある剛球は威力抜群で、緊迫する場面を楽しんでいるかのような強心臓も魅力だ。
とはいえ、厳しいプロの世界。いいことも悪いことも味わってきた宮西は言う。「みんながそんなに順調にいくほど甘い世界じゃないから。もしかしたら怪我をすることもあるかもしれないし、チャンスをどう活かすかは自分次第」。柳川も今後研究されることが増え、壁にぶつかることもあるだろう。そんなときに真価が問われることになる。
新庄監督就任3年目。楽しみな若手がどんどん出てきて、大事な場面で活躍している。宮西も「いい若手がたくさんいる。今、飛び抜けていいんじゃないかな」と目を細める“逸材の宝庫”。柳川のように飛躍する選手が増えれば増えるほど、チームも大きく成長していくだろう。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)