大谷翔平、3度目MVPの可能性は “障壁”を米識者議論…ライバルに優位点も「受賞は難しい」

メッツのフランシスコ・リンドーア(左)とドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
メッツのフランシスコ・リンドーア(左)とドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

大谷の“MVPライバル”として名前の挙がるリンドーア

 ドジャース・大谷翔平投手は史上初となる指名打者でのMVPを獲得できるのか。ライバルとされているのが、メッツのフランシスコ・リンドーア内野手だ。4日(日本時間5日)の試合では連続安打を15試合に伸ばすなど絶好調だが、大谷がこれまでのペースでシーズンを終えれば、3度目となるMVPは濃厚だ。

 今季は大谷が「40-40」をクリアするなど活躍を見せているが、MVPは守備も重要視されてきた歴史がある。MVP争いを語る時に用いられることが多い「WAR」という指標では、米データサイト「ベースボール・リファレンス」(bWAR)では大谷が7.0、リンドーアが6.3と算出している一方で、「ファングラフス」(fWAR)ではリンドーアが7.3で、大谷は6.6で2位となっており、遊撃で全試合に出場しているリンドーアを推す声もある。

 MLBネットワークの番組「MLBナウ」でも、MVPについて議論が交わされた。現役時代メッツなどで活躍したロン・ダーリング氏、MLBネットワークの敏腕記者ジョン・ヘイマン氏がリンドーアのMVPの可能性について意見を述べた。

 ダーリング氏は、リンドーアが遊撃手として守備もこなし、フィールド内外でリーダーシップを発揮していると主張。さらに、チームは開幕から22勝33敗だったが、リンドーアが1番を打ち始めてからは53勝31敗となっており、躍進の原動力となっていると説明した。MVPについては「メッツがポストシーズンに進出するかどうかにかかっていると思う」と語る。

 ヘイマン氏は、リンドーアは「MVPを受賞するのはおそらく難しいケースになると思う」と語る。「DHは一度もMVPを受賞したことがないが、オオタニの歴史的な性質と44-44という成績を残す中で、(守備も含めた)オールラウンドなプレーヤーに目を向ける(投票する)人がいるかどうかということだ。おそらく五分五分だろう」と、守備面でのマイナスを除いても大谷がMVPに近いと予想した。

歴史的な成績を残しながら…MVPを逃した選手がいるのも事実

 大谷は現在44本塁打、46盗塁。前人未踏の「50本塁打-50盗塁」にも近づいている。一方のリンドーアは現在30本塁打、26盗塁。本塁打と盗塁でそれぞれ20ほどある両者の差は、守備で埋められるのか――。ダーリング氏は「私はそうだと(埋められると)思う」と話す。

「オオタニは私がこれまで見てきた選手の中で最高の選手だ。そして歴史的なシーズンを送っている」としながらも、「(歴史的な成績の選手がMVPを逃した)前例がないわけではない」と主張。1941年にはテッド・ウィリアムズが打率.406を記録するも、ジョー・ディマジオが37票差でMVP。1998年には70本塁打を放ったマーク・マグワイアがMVPを逃していることなどを挙げた。

 ダーリング氏は「オオタニはDH(で出場している)のため、足がフレッシュだ。(守備について)1450イニングも野手として出場したら、50盗塁もできるのだろうか? でも、ベッツとフリーマンも素晴らしいので、オオタニは特定の試合ではチームで最も価値のある選手でさえなくなるかもしれないと思う。リンドーアは(1人で)メッツに違いを生み出す選手だ」と価値を主張した。

 指名打者をメインとする大谷がMVPを獲得すれば史上初で、歴史的な快挙だ。2か月半後、MVPには誰が輝いているだろうか。

(Full-Count編集部)

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