あり得ない取材方式「本人の希望です」 “直立不動”で28分対応…佐々木麟太郎の素顔
佐々木麟太郎が岩手・花巻市内で公開練習「本日はありがとうございます」
何もかもが「異例」だった。米スタンフォード大に進学する佐々木麟太郎内野手だ。岩手・花巻市内で行われた公開練習は事務所関係者によるオリエンテーション(取材可能エリアなどの説明)から始まったが、冒頭に佐々木本人が登場。1分間、マスコミ関係者へ感謝の言葉を並べた。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。(3月下旬に)渡米して、私も慣れないところがすごく多く、取材の依頼をすごくいただいていたと思うんですけど、今回は(米国生活の)出だしということで、自分自身の時間をしっかり欲しかったというところで、取材を一時ストップさせていただいておりました」
「これからまたアメリカに戻るんですけど、今回はこういう形で集まっていただいて、非常に感謝しております。なかなか機会も少ないので、私も各社さん(の取材)に対応させていただければと思います。本日はよろしくお願いいたします」
公開練習には25社44人、テレビカメラ5台が集結。プロ野球選手の自主トレを上回る熱気に包まれたが、なんと主役が深々と頭を下げるところからスタートした。
取材対応では自身のことを「私」と表現、どんな質問にも真摯に回答
約1時間の公開練習中にはフリー打撃を行った。ただ、高校通算140本塁打を放ったスラッガーには、両翼92メートル、中堅120メートルの球場は小さすぎた。木製バットでは29スイングで14本の柵越え(場外は7本)。大学の試合で使用する金属バットでは17スイングで6本の柵越え(場外1本)だった。計46スイングで柵越え20本。大先輩の大谷翔平を彷彿とさせるアーチショーだった。
ペン記者による取材対応は超異例。30人近くのマスコミ関係者を一塁ベンチへ座らせ、佐々木本人はベンチ前に立って取材に応じたのだ。選手が座って取材に応じるケースはあるが、こんなケースは20年近いスポーツ記者生活で一度もない。遠慮がちの記者には、事務所関係者が「佐々木選手本人の希望です」と説得。佐々木も「暑いので、私が立たせてください」。あり得ない取材スタイルの中、佐々木は質問者に体を向け目を見て対応。時折、笑いを交えながらの28分の取材となった。
質問に対する回答では自身のことを「私」と表現。どんな質問に対しても「いいですよ」とNGなしで真摯に回答してくれた。個別で挨拶した時も謙虚そのものだった。「東京からいらっしゃってくれたんですか……。本日はありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」。ファンなら応援せざるを得ないキャラクターだ。