宮城大弥が切磋琢磨する“同期”の存在 育成出身、佐藤一磨へ「自分に合うやり方で」

オリックス・宮城大弥(左)と佐藤一磨【写真:北野正樹】
オリックス・宮城大弥(左)と佐藤一磨【写真:北野正樹】

オリックス・宮城、同期入団の佐藤に「自分に合うやり方で、何かきっかけを」

 同期入団の“ダブル左腕”で巻き返しを図る。オリックスの宮城大弥投手が、高卒同期入団で育成5年目の今季に支配下選手登録をつかみ、プロ初登板プロ初先発でプロ初勝利を挙げた佐藤一磨投手と来季の巻き返しを誓った。

「本当に、同級生が活躍してくれるのはうれしいです。僕ら、若い世代でチームを引っ張っていきたいですね」。宮城が“遅咲き”の左腕、佐藤の台頭を頼もしそうに見つめた。

 2人は2019年ドラフトの同期入団。興南高からドラフト1位入団の宮城に対し、佐藤は横浜隼人高からの育成ドラフト1位。宮城はプロ1年目にウエスタン・リーグで6勝をマーク。10月にプロ初勝利を挙げ、同3位の村西良太投手、同4位の前佑囲斗投手、育成3位の中田惟斗投手ら同期入団投手の先頭を走ってきた。
 
 当時は7人いた同期入団の投手は、5年目の今季は4人となった。昨年までに勝利を挙げていたのは、宮城の他に村西(2勝)だけ。育成から自己研鑽を欠かさず続いてくれた佐藤の飛躍は自分のことのようにうれしかった。佐藤にとっても、宮城は追うべき背中だった。タイプこそは違うが、同じ左腕。練習に対する取り組みやマウンドでの心理、配球などすべてがお手本になった。

 佐藤は「飲み込みの早い宮城に比べ、僕が同じような成績を残すためには10倍も20倍も練習しなければ追い付けない。質も大事ですが、上手い人に追いつくために量をこなさないといけない。それが僕の野球人生。練習あるのみです」と力を込め、5年間を邁進してきた。

 宮城の登板日はテレビ中継も凝視した。「テレビで宮城の投球を見て、自分と置き換えてみるんです。配球を当てるクイズみたいなものなんですが、宮城はどんなピンチでも逃げずにしっかりと狙ったところに投げ切るんです。自分ならその球で抑えられるのかと思って見ています」と明かしたこともある。

 ただ、宮城は「僕の10倍も20倍も練習する必要はないと思いますよ(笑)」と明るい表情で話す。「自分に合うやり方で、何かきっかけをつかめば変わる部分もあると思います。良ければ、そのまま進んでいいんです」。1軍で経験を積んだ同期入団の友に、これからは自らの考えと創意工夫で道を切り拓いてほしいとの願いを込める。その行動が、チーム力をさらにアップさせることだと信じている。 

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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