まさかの電撃退任に呆然 育成出身23歳…中嶋監督の存在が「心が折れなかった理由」
オリックス・佐藤一磨「本当にビックリですよ…。何年も監督をされるものだと思っていた」
まさかの一報に、衝撃が走った。オリックスは6日の今季最終戦後に、中嶋聡監督の退任を発表した。電撃退任を知ったナインは驚きを隠せなかった。一夜明けた7日、大阪・舞洲で練習にはげんだ佐藤一磨投手は、声を絞り出した。
「本当にビックリですよ……。何年も監督をされるものだと思っていたので。少なからず、僕は監督に見込んでいただけなかったら2桁の背番号になれなかった。僕は中嶋監督のもとでプレーしていないと、もう野球をやっていなかった可能性もありましたから」
しみじみと振り返る理由がある。佐藤は2019年の育成ドラフト1位でオリックスに入団。入団初年度の2軍監督が中嶋監督だった。「レベルで考えても毎年が勝負だったので。(育成期間は)いつ、切られてもおかしくない状況でしたから」。2軍で先発ローテーションの座を掴み、懸命にアピール。2023年は2軍で19試合に登板し、ウエスタン・リーグ最多勝となる8勝を挙げた。
今年6月に念願の支配下選手登録を勝ち取り、6月9日の巨人戦(東京ドーム)ではプロ初登板初先発で5回1安打無失点の投球を披露。23歳は、待望のプロ初勝利を掴んだ。
中嶋監督には「本当に感謝しかないです。長く、我慢して見てくださって……」と言葉を前に出した。「僕が育成時代も2軍戦を観に来て下さって……。1軍の監督が朝からファームの試合を見て下さって、僕としては本当にうれしい出来事なので。見放されていないんだなと感じていました。心が折れなかった理由の1つです」。恩人のために――。堂々と胸を張って、新しい1年を迎える。
(真柴健 / Ken Mashiba)