7月に悟った戦力外「終わってしまう」 25歳育成ドラ1の胸中 “苦しかった”慶大勢の躍動

ソフトバンク・佐藤宏樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・佐藤宏樹【写真:藤浦一都】

慶大の先輩、柳町には対面での挨拶を…「どこかのタイミングで行けたらなと」

 秋の冷たい雨が降る中での通告だった。ソフトバンクは7日、9選手に対して来季の選手契約を結ばない旨を通達したことを発表した。佐藤宏樹投手もその中の1人だ。「驚きは別にしなかったかなという感じです」。今季の成績と自身の状態を鑑みると、その結果も当然であると理解し、静かに受け入れた。

 秋田県大館市出身の25歳左腕。秋田県立大館鳳鳴高を経て慶大に進学した。2020年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団するも、度重なる怪我に悩まされてきた。

「怪我して入って、怪我で終わってしまうような4年間でした。今年は手応えがあったし、結果としても前年より、その前の年よりも良くなっていた。自分の中でも自信も持っていたし、今年が勝負だなって。春のキャンプから意気込んで自信はあったんですけど……」

 終わってみれば、ファームでは3試合の登板にとどまった。さらに、支配下登録期限が迫った7月には投球時に右脇腹を痛め、肉離れと診断された。「怪我した時にはもう終わってしまうのかなと薄々思いながら。限りなく低い可能性を信じてリハビリをしていましたけど。別に驚きはしなかったかなって感じはあります」。大事な時期に怪我をしてしまったことで、覚悟はできていたという。

 今季は、慶大から廣瀬隆太内野手が入団し、柳町達外野手、正木智也外野手らと“慶応3兄弟”として注目を集めた。「自分に対して、すごく『お前も頑張れ』と言われているような。周りからの期待だと思うんですけど、すごく苦しかった時もある。いつか自分も一緒にできたらいいな、とか思っていました」。はにかみながらも振り返った表情は、どこか清々しかった。

 慶大時代からの先輩でもある柳町は、宮崎で開催されているフェニックス・リーグでCSに向けた調整を行っている。「まだ言っていないですね。昨日電話がかかってきて、今日の話が終わるまではまだ何もわからなかったので。今は宮崎にいらっしゃると思うので、どこかのタイミングで行けたらなと思っています」。戦力外になったことは、対面で伝えるつもりでいる。

 今後については「今のところは、できればNPBでやりたいなとは思ってます」と、現役続行の意志を示している。

(飯田航平 / Kohei Iida)

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