ふと眺めたYouTubeで“発見” 田嶋大樹の気持ちを楽にさせたアマ投手「これ基本だな」

オリックス・田嶋大樹【写真:北野正樹】
オリックス・田嶋大樹【写真:北野正樹】

オリックス・田嶋大樹が“発見”した新スタイル

 創意工夫が窮地を救った。オリックス・田嶋大樹投手が、復調のきっかけをつかんだのは動画投稿サイト「YouTube」で見つけたアマチュア選手の“キャッチボール投法”だった。「前半戦は体のメカニズムが全然合っていなくて、いろいろ試したんですがダメで。次に何をやろうかなと思ってYouTubeを見たら『これ、基本だな』と思って取り入れました」。屈託のない笑顔で振り返った。

 プロ7年目の左腕。今季は前半戦で9試合に登板し、3勝3敗、防御率4.26。「どう投げてもキャッチャーまで力強いボールがいかなかったんです」と苦しんだ。ヒントになったYouTubeの映像は「キャッチボール投法」と紹介されていたもので、投手がキャッチボールをしているように小気味よく投げ込んでいた。

「本当にピッチングじゃなく、マウンドから捕手のミットにキャッチボールをするように投げていたんです。これはピッチャーの基本だなと思って、この考えでやってみようかなと」と、球宴期間中に模索し続けた。

 さらに挑戦は続いた。それまでセットポジションから投げていたが、球宴明けの6月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)でノーワインドアップ投法に切り替え、7月9日のソフトバンク戦では試合前のブルペンで試したワインドアップ投法でいきなり投げ、7回3安打無失点。95球の力投で約1か月ぶりの白星を挙げた。

「ロッテ戦ではクオリティ・スタート(先発6回以上を自責3以内)はしましたが、あまりしっくりきてなくて。ソフトバンク戦のブルペンでちょっとワインドアップをやってみようかと思ってやったら、こっちの方が動きやすくてこのまま試合に行っちゃおうと思ったんです」

 以後もワインドアップ投法で、安定した投球を続けている。「(先発では)最低15個のアウトを取るのが基本的な考え。防御率は、最低で3点台で終わればいいくらいに思っていますし、勝ち星、負け星というのは運ですから気にしていません。トータルでみて、細く長くプロ野球人生を送りたいですね」。臨機応変でシンプルな「田嶋スタイル」で自身を導く。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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