日本ハムvsロッテは激戦だらけ “令和の怪物”を鮮やか攻略…地の利含めて有利に働く?
対戦成績は日本ハムが18勝6敗1分と大きくリード
「2024 パーソル クライマックスシリーズ パ」のファーストステージが12日から開幕する。今回は、今季行われた日本ハムとロッテの直接対決の中から印象的だった4試合を振り返っていく。
○5月10日
ロッテの先発・佐々木朗希投手から2回に4番のアリエル・マルティネス捕手が逆方向にソロを放ち、日本ハムが先制する。しかし4回に今度はロッテ4番のネフタリ・ソト内野手が福島蓮投手から逆転2ランを放つと、5回には藤岡裕大内野手の適時三塁打が飛び出し、点差は2点に。日本ハムは6回に佐々木を攻め立て、2死二、三塁から松本剛外野手の2点適時打で同点に追いつく。その後も攻撃の手を緩めることなく、2番手の岩下大輝投手から田宮裕涼捕手が走者一掃の適時二塁打を放って勝ち越しに成功。「令和の怪物」を鮮やかに攻略したこの試合は、ポストシーズンを見据えたうえでも意義のあるものだった。
○5月12日
岡大海外野手の先頭打者本塁打で始まったこの試合は、直後に郡司裕也捕手の犠牲フライで同点に。2回に万波中正外野手のソロで均衡が破れるが、4回にロッテが2点を奪う。再び同点となって迎えた6回には、岡のこの試合2本目の本塁打でロッテが勝ち越し、9回に押し出し四球でリードを2点に広げた。それでも日本ハム打線は9回にクローザーの益田直也投手からチャンスをつくり、マルティネスの適時三塁打で1点差に。なおも1死満塁で、伏見寅威捕手が代わった鈴木昭汰投手から同点打。最後は水野達稀内野手がライトに打球を運び、劇的なサヨナラ勝利を飾った。相手の勝ちパターンを立て続けに攻略し、会心の逆転劇を演じてみせた。
○5月19日
ロッテは初回にソトのタイムリーで幸先よく2点を先制し、2回には相手のパスボールで1点を追加。先発の小島和哉投手は6安打を浴びながら7回まで2失点と粘りの投球を見せたが、8回に1死一、二塁のピンチを招いてマウンドを降りると、後を受けた澤村拓一投手が押し出し四球を与え、3対3で最終回に突入した。そのまま迎えた9回裏、1死無走者で打席には岡。この時点で防御率0点台と抜群の安定感を誇っていた河野竜生投手から会心の当たりを放ち、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。岡にとって3年ぶり3度目となるサヨナラ本塁打は、過去の「ヒロミナイト」にちなんで「ヒロミサンセット」と称される、まさに劇的な一打となった。
○7月3日
2回に日本ハムの先発左腕・細野晴希投手から佐藤都志也捕手が3ランを放ち、ロッテが3点のリードを得る。しかし日本ハムも3回にロッテの先発・田中晴也投手を攻め、水谷瞬外野手の適時打とフランミル・レイエス外野手の逆転満塁弾で一気に5得点。ビッグイニングで試合をひっくり返す。それでもロッテは6回に佐藤の4打点目となるタイムリーで1点差に詰め寄ると、無死満塁から藤原恭大外野手の2点適時二塁打で再逆転。その後も藤岡の内野ゴロの間に1点、2死三塁から荻野貴司外野手の適時内野安打でもう1点を挙げ、こちらも1イニング5得点を記録。苦手としていたエスコンフィールドで、鮮やかな逆転勝利を収めている。
日本ハムは対戦成績で18勝6敗1分とロッテを大きくリードしており、先発・リリーフ・野手陣のいずれにおいても好相性を示す選手が多く存在。開幕から直接対決で7連勝を記録したエスコンフィールドで試合を行うという「地の利」も含めて日本ハムにとっては有利な材料が揃っているといえよう。しかし、ロッテは2005年のプレーオフも含めてファーストステージを戦った経験が8度あり、そのうち敗退したのはわずか1回のみ。昨季も延長戦で3点ビハインドを覆す奇跡の逆転劇によってファイナルに駒を進めただけに、ファーストステージにおける無類の勝負強さが、シーズン中の相性を覆すことになるかは注目のポイントといえよう。
下克上を果たすための第一関門を突破するのは日本ハムか、それともロッテか。今シーズンの集大成となるポストシーズンにおいて、両チームが見せてくれる戦いぶりにあらためて注目したいところだ。