山下舜平大が受けた衝撃「凄いっすよ」 朝7時から黙々…引退のT-岡田が伝えた姿勢
山下舜平大が少年時代に“真似”したT-岡田の打撃フォーム
童心を思い出した。オリックスの山下舜平大投手が、今季限りで現役を引退したT-岡田外野手への“思い出”を語った。「小学校の時、打ち方を真似していましたよ。カッコよくて……」。約11年前の自分を思い出し、顔をほころばせた。
福岡市立野多目小学校の5年生だった頃、筑紫丘ファイターズで白球を追っていた山下は、YouTubeで見つけたT-岡田のバッティングフォームに目を奪われた。「バットを真っすぐに立てて。多分、ノーステップ打法だったんです。それがカッコよくて。カッコいいなと思って、真似をしていました」。にこやかに当時を思い出す。
T-岡田は高卒プロ5年目の2010年に33本塁打を放ち、本塁打王に輝いた“なにわの轟砲”。左右の違いはあるが、大きな弧を描きスタンドに吸い込まれる飛球に「山下少年」も単純に憧れた。一時は挑戦したが飛距離は伸びず、フォーム改造は実らなかったそうだが、少年時代の懐かしい思い出となっている。ただ、憧れた大打者とチームメートになったが、幼少期のエピソードをT-岡田には伝えたことはないそうだ。
そんな先輩が、今季限りでユニホームを脱いだ。36歳。投手と野手の違いはあったが、T-岡田は故障などで調整のため近年は2軍で過ごすことが多く、山下も腰痛などで同じようにリハビリ組で話す機会は多かった。
「本当にTさんって、優しいんです。自分たちの若い世代にも同じ目線で話してくれるというか。(寮生の)自分は午前7時50分くらいにウエートルームに行くのですが、いつもTさんがいらっしゃいました。7時頃に来て、1人でずっとやっていらっしゃいましたね。凄いっすよ」と、練習に取り組む姿勢も学んだという。
「自分が腰を痛めていた時には『大丈夫か? いい治療器もあるよ』と気遣っていただきました。優しい言葉がありがたかったです」。同じ怪我からの復活を目指す先輩としての心遣いに、感謝の思いを忘れたことはない。
昨季、9勝(3敗)を挙げ、新人王に輝いた山下だが、プロ4年目の今季は3勝6敗と伸び悩んだ。怪我もあり、リハビリに費やす期間が多くなってしまった。現在も治療優先で体を鍛えながら癒す日々。来季開幕までにコンディションを整え、成長した姿をT-岡田に見てもらうつもりだ。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)