衝撃の.714…侍Jの4番は国際大会でなぜ強い? 専門家絶賛の“才能”「非常に有用」
阪神・森下は「バットを振りながらタイミングを合わせていける打者」
野球日本代表「侍ジャパン」は15日、「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」のオープニングラウンド、グループB・韓国戦に6-3で逆転勝ちした。4番を任されている阪神の24歳・森下翔太外野手は7回の2ランを含め3打数2安打2打点。初戦の豪州戦と合わせて、今大会7打数5安打4打点(打率.714)の猛打を振るい、大会連覇を狙う侍打線を牽引している。
「森下はレギュラーシーズンでも、ファーストストライクから積極的に打っていくタイプです。彼が“バットを振りながらタイミングを合わせていける打者”だからこそで、これはかなりの才能です。対戦する相手投手がほぼ全員初対戦となる国際大会では、非常に有用と言えます」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。
森下は1点ビハインドの2回先頭で迎えた第1打席で、韓国先発のチェ・スンヨン投手に対し、3球でカウント1-2と追い込まれたが、そこから4球ファウルにするなど粘り、結局10球目に真ん中へ来た144キロのストレートを中前打。2死後、オリックス・紅林弘太郎内野手の左前適時打で先制のホームを踏んだ。
試合はその後接戦となったが、1点リードの7回1死一塁で森下は韓国6番手チョ・ヘヨンへの代わり端をとらえて左中間へ2ラン。勝利を引き寄せた。
「この打席では、初球の外角低めのスライダーを空振りしましたが、この1球でだいたいの曲がり幅などを把握できたと思います。だからこそ3、4球目のボールになるスライダーを余裕を持って見逃すことができた。こうして、だんだん森下のペースになっていきました。一方、チョ・ヘヨンのストレートは140キロ台で、NPBにもいくらでもいるレベル。2球目の147キロを見逃してストライクを取られましたが、5球目に真ん中へ来た147キロは逃しませんでした」
7打数無安打…3番・辰己は「今のところなかなかバットが出てきません」
どんな打者にも、どうしてもタイミングが合わせにくい変化球が存在するが、森下はそれ以外では、空振りや打ち損じのファウルの中からでもタイミングをつかみ、アジャストしていける。「侍ジャパンでは国際大会に強い広島・小園(海斗内野手)もそういうタイプですし、この日の5回に逆転2点打を放ったDeNA・牧(秀悟内野手)も振っていける打者です」と野口氏は語る。
逆に「3番を打つ楽天・辰己(涼介外野手)は今のところ、なかなかバットが出てきません(2試合で7打数無安打)」と指摘する。
「彼は基本的に、それほどファーストストライクから打っていくタイプではない。レギュラーシーズンであれば、第1、第2打席を捨てても、終盤のここぞという場面で打てた方がいいケースがありますし、長いシーズンの中で慣れていけることもある。しかし国際大会となると、2日前に対戦した豪州が12人、この日の韓国も8人の投手をつぎ込んだように、全打席で違う投手と対戦することもあるわけで、対応が難しくなります」
長距離砲のヤクルト・村上宗隆内野手、巨人・岡本和真内野手が故障で今大会に参加できなかった中で、国際試合で強みを発揮する森下、小園、牧の存在は頼もしい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)