2軍タイトルも戦力外 26歳2児パパの“自覚”…「下で獲っているようじゃ」

オリックス・横山楓【写真:北野正樹】
オリックス・横山楓【写真:北野正樹】

オリックス・横山楓「1軍に呼ばれるレベルに達していなかっただけです」

 オリックスから戦力外通告を受けた横山楓投手が、悔しさをバネに育成選手で現役続行する。「2次(での通告)もあるので、どちらかで言われると思っていましたから、そんなに驚きはしませんでした。育成で考えていてくれるということには、そのように考えてくれているんだ、とちょっと驚きました」。秋季練習でチームメートと同じ汗を流している横山楓は、静かな口調で切り出した。

 横山楓は宮崎県出身。宮崎学園高から国学院大を経てセガサミーから2021年ドラフト6位でオリックスに入団。プロ3年目の今季は2軍で47試合に登板し、1勝5敗14セーブ、防御率3.65でウエスタン・リーグの最多セーブのタイトルを獲得した。10月3日に球団が発表した第1次の8人の戦力外通告メンバーには入っていなかったが、8日に追加で通告を受けた。

 2軍とはいえ、タイトルホルダー。しかし、横山楓は「上(1軍)で投げていなかったですから。よく言うじゃないですか『下でタイトルを獲っているようじゃ』って。僕自身もそう思いますし。悔しい思いはありますが、受け止めるというだけですね」と打ち明ける。

 1軍登板は、2023年の4試合(1敗)だけ。「昨年は上げてもらった1軍。今年は自分で1軍入りをしたい」と臨んだシーズンだったが、シーズン終盤の10月1日に1軍選手登録されたものの、出番はないままに終わった。「昨年の終わりごろからフォームを固めて、3年間で1番手応えのあったシーズンだったのですが、1軍に呼ばれるレベルに達していなかっただけです。決め球がうまくいかないと球数がかさんで、なかなか連投もきかないとなると、やっぱり(首脳陣には)使いづらいですし。自分でもそれはわかっていました。根本的にレベルが足りないと思っています」と冷静に自己分析をする。

 肘をたたんだ変則的なショートアームから繰り出すストレートと、フォークが武器。「直球は通用すると思うのですが、やっぱりフォークですね。数値的にはよくなっているのですが、直球とのコンビネーションで考えると、まだ“弱い球”なんです。2ストライクに追い込んでからの四球もありましたし、粘られてフルカウントでやっと打ち損じで抑えるとか。自分の課題はわかっています」と前を向く。

 チームには、阪神に2016年ドラフト2位で入団し、怪我などもあり30歳で支配下登録選手を目指す小野泰己投手がいる。今も最速159キロをマークする右腕を見て「あの年齢でも前向きで、目標になります。持っているものを評価してくれる球団なんです」。横山楓は4歳の息子、2歳の娘のパパ。「1軍で投げているところを見せたいですね」。捲土重来を誓う。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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