今季0勝も…OBが絶賛する阪神20歳「ピカイチ」 覚醒に太鼓判、逸材が秘める“可能性”

阪神・門別啓人【写真:小林靖】
阪神・門別啓人【写真:小林靖】

開幕1軍も「キャンプから猛アピールし、肝心なところで疲れていた」

 藤川球児新監督の下でV奪回を目指す2025年の阪神で、飛躍が期待される若手は誰か──。現役時代に阪神、ヤクルト、日本ハム、横浜(現DeNA)の4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が“推し”を明かす。

「投手では、なんといっても門別(啓人)でしょう」と野口氏。弱冠20歳の左腕は2024年、開幕1軍入りを果たし、リリーフで3試合に登板した後、5月3日の巨人戦で先発マウンドを踏んだが、3回6失点(4自責点)で、プロ初白星よりも先に初黒星が来た。8月24日の広島戦で再び先発のチャンスを与えられたが、5回2失点でまたも敗戦投手に。シーズン5試合0勝2敗、防御率4.50に終わった。

「キャンプから猛アピールしていましたが、肝心のシーズンに入ったところで少し疲れてしまった印象でした。必要な体力がまだついていなかったというところでしょう」と指摘する。それでも「1年を経て、どれくらいのものになるか。持っているものはピカイチ。高橋遥人みたいに、切れのいいボールをコントロールよく、ビシビシ投げ込むタイプです」と期待の高さは変わらない。実績のある投手がひしめく阪神の先発ローテ争いに、割って入ることができるだろうか。

左の前川、右の井上は将来クリーンアップに並び立つ大器

 野手では、21歳の前川右京外野手と23歳の井上広大外野手が、左翼の定位置を争うことになりそうで、実に楽しみだ。左打ちの前川は2024年に116試合、打率.269、4本塁打42打点をマークしブレーク。スタメン出場も83試合に上った。「怪我さえなければ、2025年には主軸になっていくべき選手だと思います。典型的な3番打者になっていく気がします。基本的にアベレージヒッターですが、ロングもないわけではない。将来的には首位打者争いができる打率を残した上で、本塁打も20本前後を目指していい選手です」と絶賛する。

 ただ、岡田彰布前監督が指揮を執った2024年には、前川は相手が左投手の時、スタメンを外されたり、代打を送られたりするケースが目立った。2025年の起用法は新監督の考え方次第だが、仮に左投手に対しては別の野手を、となった時、優先順位が高そうなのが右打ちの井上である。

 井上は1軍ではわずか23試合、打率.212(52打数11安打)、3本塁打8打点だったが、ウエスタン・リーグでは打率.308をマークし首位打者に輝いた。「遠くへ飛ばす力を持っている選手です」と野口氏は評する。

 しかも本拠地・甲子園球場特有の、左翼方向へ吹く“浜風”が後押しする。「甲子園の浜風は、右打ちの長距離砲向きです。例外は“逆方向”のレフトにもホームランを打つ技術を持っていた掛布雅之さん、ランディ・バースさん、途轍もないパワーを持っていた金本知憲さんくらいでしょう」と指摘するのだ。左の前川と、右の井上。2025年は1つのポジションを争うかもしれないが、ゆくゆくはクリーンアップに並び立ってほしい大器である。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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