5年総額15億円、背番号10の責任「勝ち続けないと」 甲斐拓也に課された優勝請負人の宿命
都内で入団会見、巨人は「やっぱり勝たないといけないチーム。勝ち続けないといけないチーム」
とてつもない重圧だろう。ソフトバンクから巨人へFA移籍した甲斐拓也捕手は、終始、引き締まった表情のままだった。約60人の報道陣が集まった都内ホテルでの入団会見。「交渉で印象に残っている言葉は?」と問われると、包み隠さずに打ち明けた。
「グラウンド上でキャッチャーというのは監督なんだと。阿部監督も現役の時から原さんにもそういうふうに言われて、阿部監督自身もそう思ってると。そういった司令塔としてやってもらいたいと。また(背番号)10番もそういった思いで受け継いでほしいと。そういった言葉を直接いただいて。それはものすごく嬉しい言葉でもあり、重くのしかかる言葉でもあるなと思いました」
ソフトバンクでは2017年から日本一4連覇。侍ジャパンでも2019年WBSCプレミア12、2021年東京五輪、2023年WBCと世界一へ導いてきた。それでもなお……。移籍の決め手について「阿部監督ですね」と言い切った32歳は、優勝請負人としての思いを口にした。
「やっぱり勝たないといけないチーム。勝ち続けないといけないチームだと思っている。そこの責任はもちろん、プレッシャーもありますけど、勝ち続けて。若い選手、若い投手陣も多くなってると思いますので、今まで自分が経験したことを引き続きやっていければなと思います」
今季、巨人は岸田行倫、大城卓三、小林誠司の3捕手を併用して戦った。阿部慎之助監督は「日本を代表する捕手」と期待するが、甲斐自身は若い投手陣と一からコミュニケーションを取る立場。セ・パでリーグは違い、さらには大分出身の九州男児で住環境も大きく変わる。やることは山積みだ。
23分間の会見では、開幕前に対戦するドジャースの話題も振られた。WBCで共に戦った大谷翔平、山本由伸との対決はまた感慨深いものがあるだろうが、そんなことは二の次だ。「今は全くそこまで考えてないです。とにかく早くチームに馴染んで、コミュニケーションをとって、開幕に向けて準備をどれだけできるか。キャンプのことで頭がいっぱいです」。偽らざる本音だろう。
巨人にとっては4年ぶりのFA補強。5年総額15億円(金額は推定)の条件面だけでなく、背番号は阿部監督が現役時代に付けていた10番。阿部監督はマスクを被る甲斐について「表情だけでも会話ができる。もっと言うならば包容力がある」と評した。三顧の礼で迎えられた。
「やっぱり捕手として一番はチームが勝つことが一番だと思っている。バッテリー間のコミュニケーションだったり、18.44の空間を大事にしていきたい」。正捕手としてリーグ連覇、日本一奪回が最重要課題となる。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)