真相は闇の中に…“イチロー外し”の記者はなぜ不明? MVP投票と異なるシステムの違い

米殿堂入りの会見に臨んだイチロー氏【写真:Getty Images】
米殿堂入りの会見に臨んだイチロー氏【写真:Getty Images】

投票用紙には14日以内に公開するかどうかの選択肢が記載されている

 米野球殿堂は21日(日本時間22日)、2025年の殿堂入りメンバーを発表し、通算3089安打のイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が資格1年目で選出された。野手史上初の満票が期待されていたが1票足りず。殿堂入りすること自体が名誉ある偉業の裏で、“イチロー外し”の記者が話題に。もっとも、その人物が判明する可能性はとても低い。

 BBWAA(全米野球記者協会)に10年以上所属する記者による投票で決定される。メジャーで10年以上プレーした選手が引退から5年で資格を得て、全投票数の75%を集めると殿堂入りとなる。過去に満票での選出となったのは2019年のマリアノ・リベラ氏のみ。イチロー氏はMLB公式サイトなども活用するトラッキングサイト「Baseball Hall of Fame Vote Tracker」で20日(同21日)、開票率48.0%時点で満票を維持しており、2人目の快挙が期待されたが、1票届かなかった。

 もっとも、過去に肉薄したケースはある。2016年にはイチロー氏の憧れの存在でもあり通算630本塁打のケン・グリフィーJr.氏が3票差、2020年のデレク・ジーター氏が同じく1票及ばずに快挙を逃した。ともに5年以上の月日が経っているが、票を投じなかった記者はいまだ判明していない。

 BBWAAによるMVPやサイ・ヤング賞などのアワード投票では、記者名・所属媒体が詳細に公開されている。一方で、米メディア「CBSスポーツ」のデイン・ペリー氏が「唯一抵抗した人物は匿名のままになりえる」と指摘するように、現行の制度上では投票者に公開義務はない。同氏は「ひょっとすると(イチロー氏に投票しなかった)その記者は前に出てきてイチローを外す決断についての説明をするかもしれない。しかしながら、それはおそらく起きないように思える」と続けた。

 ペリー氏は、イチロー氏に投票しなかった理由で考えられるものとして、安易にイチロー氏の(勝利貢献度)WARの数値を見て判断した可能性があることを指摘。その上で「おそらく、その投票者はイチローなら(苦戦することもなく)殿堂入りすると当然ながら想定し、より確実性の低い者たちにその10枠を使ったのだろう」と伝えている。

 殿堂入りの投票権を持つ記者たちは、結果発表前に自身の投票用紙をSNSで公開するケースがある。その投票用紙には「結果発表から14日後に投票内容を公開することを望んでいる?」という欄があり、記者は「Yes」「No」を選択できる仕組みになっている。もっとも、当のイチロー氏は会見に臨み、「1票足りないのはすごく良かったと思います。ジーターと一緒」「不完全であるというのはいいなって」などと語り、気にしていない様子だった。

(Full-Count編集部)

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