語り継がれる伝説の試合 今年も巨人の北陸シリーズに注目
語り継がれる1993年6月9日の巨人-ヤクルト戦
9月2日に巨人の北陸シリーズ第2戦が石川・金沢で行われる。石川県開催は2010年以来、5年ぶり。シーズン終盤に入り、優勝争いをするヤクルトとの2連戦(第1戦は9月1日に富山で開催)。どちらも落とせない試合だ。
巨人と石川県といえば、かつての主砲・松井秀喜さんの故郷が思い浮かぶだろう。だが、多くのプロ野球ファンの記憶に刻まれているのが、同じ石川県立野球場で1993年6月9日に行われた巨人-ヤクルトの試合である。
ヤクルト新人の伊藤智仁投手が高速スライダーを武器に巨人打線から三振を次々と奪っていった。一方で巨人も左腕投手・門奈哲寛が好投し、試合は0-0のまま9回を迎える緊迫したゲームだった。
9回裏。2アウトからドラマが起きた。伊藤智は圧巻の16三振を奪い、セ・リーグの1試合最多奪三振のタイ記録を樹立するほどの好投だった。そして巨人稀代の左打者・篠塚和典を打席に迎えた。
三振を奪えばセ・リーグ記録。そしてその初球だった。とらえられた打球はライトスタンド一直線。劇的なサヨナラアーチになった。好投が一転した伊藤智は篠塚にリーグ記録を阻止されただけではなく、黒星をつけられた。16奪三振の最多タイ記録を作りながら、負け投手になったのは伊藤智だけ。最後まで何が起きるかわからない、プロ野球史に残る1試合だった。