NPB球、和食、長めの練習には適応も… 西武の201cm新助っ人が日本で“不便”なこと

春季キャンプで投げ込む西武のトレイ・ウィンゲンター【写真:小林靖】
春季キャンプで投げ込む西武のトレイ・ウィンゲンター【写真:小林靖】

MAX161キロ誇るメジャー通算97試合のウィンゲンター

 201センチの長身右腕に期待も高まる。西武の新外国人トレイ・ウィンゲンター投手が宮崎・南郷キャンプ3日目に来日後初めてブルペン入りし、正捕手の古賀悠斗捕手を相手に持ち球のストレート、スライダー、チェンジアップを披露。25球を投じた。

 長身に加え、体重も107キロあり、マウンドに立った姿は迫力満点。報道陣の前では、手を額の高さに置きながら「日本の部屋のドアは低いね。これくらいだもの。まだ額をぶつけたりはしていないけれど、しゃがまないと入れないよ」とアメリカンジョークを放って、肩をすくめてみせた。

「きょうの前半は、全球種をホームプレート上にしっかり投げることをテーマに置き、後半は試合と同じように力を入れたり、1球1球に間を取ったりした」と説明。やや制球を乱すシーンもあったが、「肩肘の状態も、体調もいい。日本で初めてブルペンに入り、チームメートと並んで投げられて、チームの一員になれた気がするよ」と表情は明るかった。

 メジャーではパドレス時代の2019年に自己最多の51試合に登板し、1勝3敗1セーブ16ホールド防御率5.65をマークしたのをはじめ、通算97試合で2勝3敗1セーブ21ホールド、防御率5.66。昨年はレッドソックスで2試合に登板し防御率27.00、8月に移籍した先のカブスでは5試合で防御率3.00の数字が残っている。

 最高球速は「トミー・ジョン手術を受ける前の2019年に計測した100マイル(約161キロ)だが、昨年も99マイル(約159キロ)を出している」そうで、三振を奪ったりフライを打たせるのが持ち味のようだ。メジャー通算95回1/3を投げて、127奪三振。8以上で高いとされる奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は、11.99に達している。今季西武でセットアッパーの役割を期待されているのも、うなずける内容だ。

正捕手古賀悠「ストレートは外国人にしては癖がない」

 日本の野球への順応は比較的早そう。NPBの公認球に「全体的に、めちゃめちゃ好きだよ。アメリカのボールに比べると、表面がしっとりしていてグリップが利くし、縫い目も高くて指を掛けやすい。まだアメリカでやっていた通りにはいかないけれど、これから慣れて自分の球種の特性を日本でも出していきたい」と目を細める。

 日本式の練習も「アメリカに比べると、走る量が多いね。アメリカで距離の短いスプリント系を中心にやってきたのに対し、日本は長距離中心で、ウォーミングアップにも時間をかける。僕自身はしっかり準備ができるので、日本のそういうところが好きだよ」と前向きにとらえている。普段の生活も「もともと和食が好き。あとは今シーズンが終わるまでに、箸の使い方もうまくなっていたい」とエンジョイしている模様。

 球を受けた古賀悠は「初めて受けた印象としては、ストレートは外国人にしては癖がなく、普通の真っすぐだと思いました。スライダーも、どちらかというと日本人っぽい縦の変化でした」と評し、「本人は『高めのストレートをうまく使っていきたい』と言っていました」と明かした。

 ウィンゲンターという名前は、日本人にとっては発音しづらく、少々長くて覚えにくい。本人は「ウィングと呼んでほしい」とアピールする。まさにウィング(翼)が生えたように飛躍してほしい、30歳の期待株である。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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