山本由伸が見せた“謙遜”「最初だけですよ」 2年目でエースへ、突き進む夢の道

山本由伸が“謙遜”した瞬間…「全然、そんなことないですよ」
【MLB】ドジャース 3ー0 カブス(日本時間12日・ロサンゼルス)
手の届かない場所まで突き進む剛腕に、何度も驚かされる。ドジャースの山本由伸投手は11日(日本時間12日)、本拠地でのカブス戦に先発登板し、6回103球2安打無失点の好投で今季2勝目を掴んだ。9三振を奪い、計28三振はメジャー単独トップ。“無双状態”が止まらない。
オリックスを“卒業”してメジャー移籍した26歳に、掛けた言葉がある。「スーパースターになったね……」。オリックス在籍時からスター選手であったが、今では頭文字に「超」がついてもおかしくない。
照れ笑いが返ってくると予測していたのだが、瞬時に戻ってきた言葉は「いやぁ……。全然、そんなことないですよ。有難いことに、周りの皆さんがそういう感じで見てくれるようになっただけだと思います」。人生、何周目なのか。真剣にそう感じた瞬間だった。
東京ドームで開催された3月18日のカブス戦。開幕投手を任され、5回3安打1失点で勝ち投手になり、ヒーローインタビューを受けた。数日後、ロサンゼルスに移動したばかりのクラブハウスで、少年のように携帯画面を見ていた。
空気を読みながら「全部門で1位だね」とイジると、「最初だけですよ(笑)。全部門で1番上に名前があるのは」と微笑んだ。日本では2021年から3年連続でMVP&沢村賞を受賞した。3連覇に導いて、海を渡った右腕だが「こっち(メジャー)ではそんな簡単に行かないです。いつもですけど、やっぱり1日1日を積み重ねるしかないですから」と基礎を重んじる。
当然ながら、心も強い。2週連続で前日が移動日となったマウンド。「(移動は)6時間……ですよ。時計を見ないようにしないと」と苦笑いしていたが、登板後には「移動の後は、移動がない時と比べるともちろん大変なところはありますけれど、そこは割り切って。できるだけ良い状態に体を持っていく感じです」と頬を緩めた。
“名物”にもなりつつある、試合前の遠投。この日は2球ほど、捕手の頭上を越えるシーンが見られたが、マウンドでは修正を施した。「直球がすごく制球できていたと思いますし、変化球も良いゾーンに投げられて、良いカウントで勝負ができていたので、いろんな選択肢があったのかなと思います」。ゲームを自らのコマンドで支配する。日本人選手初のサイ・ヤング賞も、くっきりと視界に――。目を閉じて見る夢が、全てではない。
(真柴健 / Ken Mashiba)