イチロー氏、野球は「人間と人間の戦い」 米殿堂入り会見で語った哲学…一問一答

マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクターのイチロー氏【写真:川村虎大】
マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクターのイチロー氏【写真:川村虎大】

MLB通算3089安打、シーズン262安打など数々の金字塔

 メジャー通算3089安打を放ち、アジア選手として初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が18日(日本時間19日)、オンラインで記者会見に臨んだ。27日(同28日)に米クーパーズタウンで開かれる殿堂入りの表彰式典を前に語った一問一答は以下の通り。

――イチローさんは引退してから野球に関わっている。これからの野球、将来へ何が大事ですか。
「人間と人間が戦うスポーツなので。人間らしさというか。情熱とか気持ちを大事にしたいというか。あまり無機質にならずに、人間と人間の競技だというところを僕は大事にしたいと思っています。そうじゃないところをやる。教える人はいっぱいるので。そうじゃない。野球の人間としてできていることをやっていきたい」

――野球に対する気持ち、過去の野球を大事にしている。日本の野球、米国の野球に、どうしてそこまで興味を持ったのか。
「僕たちが幸せに野球をやれているのは先輩たちの功績があったからこそ、なんですよね。歴史を踏んで、今の我々があるということを知っておかないといけないし、その感謝をやっぱり伝えたい。野球人として。やっぱり歴史というのはそういうものなので」

――そういうことは日本の若い選手たちへ教えられることなのか。それともイチロー自身がそうしたいことなのか。
「もちろん両方です。僕自身がその気持ちを示したいし、若い子どもたち、選手たちに。伝えられるかは分からないんだけど、先輩が後輩に伝えていくのは義務があると思うんですよね。それはいつの時代もそうであってほしいと思うし、それが伝わるかどうかは、なかなか難しいところで」

――マリナーズでは毎日グラウンドに来ている。マリナーズの選手たちに伝えていきたいのか。それがマリナーズでやっていることか。
「僕は伝えたいことがあって、ここにいるのではなくて、選手から求められるならそれをしたい。そういうスタンスでいます。実際に、走ったり、投げたり、時に打ったりということもするんですけど、彼らとは親と子ぐらい年齢的には違うんですけど、その50歳、50歳ですけど僕は。まだ、これだけ動けるというのを見せるだけでも彼らのモチベーションになるんじゃないかという期待はあります」

デビューしたシアトルは「近い存在」

――殿堂入りのサバシアが同じ年に殿堂入りするのは光栄だと言っていた。サバシアとの関係は。ワグナーと話したことは。3人の関係が知りたい。
「前回クーパーズタウンに行った時にCCとビリーと色々と話したんですけど。CCとは特にチームメートであったし。でも投手と野手ということであまり話す機会がなかった。すごくイメージ通りの人。すごく正直で、でも、野球に対する熱い思いもあって。嘘がないというか。そういう気持ち良さがすごくありました」

「ビリーに関しては、対戦したことは日米野球であったんですけど、CCよりももっと知らないことが多くて。CCがいてくれたことで、その3人がすごくいいバランスだったなという感じがしました。ビリーは情熱的な人で、みなさん彼の涙を見ればわかると思うんだけど、やっぱりすごく素直で話しやすい人で、いい人間だということが、あの時間だけでも伝わってきました」

――シアトルという場所でプレーした。シアトルの何がイチローさんを導いてくれたと思うか。
「元々、僕がいたオリックス・ブルーウェーブというチームと関係があったこともあって、2001年の2年ぐらい前、99年のキャンプに参加したことがあったり。当時オリックスに投手コーチがいたり。日本にいた時から近い存在であったことがすごく大きくて」

「2001年に来た時にはマリナーズのことを知識として知っている状態でいたので。2001年に初めてアメリカに来て、初めていろんなものを見るという状態ではなかったんですよ。その時点で、すでに、ある程度関係ができていることは大きかったですし。実際にファンの前でプレーして。特別なシーズンでしたら、2001年は。その1年はすごく大きかったと思います」

――マイアミで通算3000本を達成した。マイアミについては。
「シアトル、ニューヨーク、マイアミという順番でプレーしたんですけど。全く違う文化の中で、アメリカなんですけど、ラテン系の文化が色濃くあった場所で。僕にとっては、すごく新鮮でした。チームメートたちがみんな僕のことを尊敬してくれて。それまでのマリナーズ、ヤンキースのプロフェッショナルなチームとは全然違って。MLBの中でも全く違う空気のチームがあるんだと。すごくいい経験になりました。今でもどこか旅行に行くんだったら、マイアミには行きたいなという場所です」

8月の日本での試合、自身の原点にも言及

――セレモニーをどれぐらい楽しみにしているか。スピーチはイチローさんでも緊張すると思いますか。
「楽しみにしているので、もちろん緊張もします。僕は基本的に、人前で話す時は緊張するタイプ。間違いなく緊張するんですけど。それよりも来月の31日に日本でプレー、女子の選抜チームとの試合が決定しているので。体づくりが思うように進んでないことを心配しています」

――これから語り継がれる立場になる。どのような気持ちがあるか。
「それは人が決めてください。そうなるかどうか、分からないからね」

――現地での練習時間の確保は。クーパーズタウンでは。
「なんとか場所と時間を確保するように今トライしています。ゴルフの予定があるんですけど、その予定をキャンセルして、野球の練習をする予定です」

――野球の原点は子どもの頃になると思う。ご両親に対しての思いは。
「両親に対しては、やっぱり小学生の4年間ですね。毎日練習に付き合ってくれた父親がいるんですけど、その4年間なくしては僕の基礎は作られなかったと思うので。自営業であったことが僕にとってはラッキーでした。これはサラリーマンだったらできなかったので。いろんな運が重なったんだなと改めて思いますし、そこに毎日労力を費やしてくれたことに大変感謝しています」

――米国に来て四半世紀。メジャーリーグで、これはいい変化だな、この変化はいかがなものかと思う2つの例を教えてください。
「これはオンレコードでは難しいんじゃないですか。僕は正直な人間なので、嘘は言いたくないし。で、こういう話は面倒くさく伝わる傾向がある。なかなか正直に話しずらいテーマですね」

(Full-Count編集部)

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